暮らしに関わる重要な法案を積み残したまま、事実上の閉幕となった通常国会。

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企業・団体献金の扱いをめぐる法案や選択的夫婦別姓など、様々な問題が“先送り”にされる中、21日には、野党7党が提出した「ガソリン税の暫定税率を廃止する法案」の審議が行われましたが…。

与党は「欠陥だらけ」「ポピュリズム(人気狙い)法案」と反対、採決は行われませんでした。

自民党 石井準一参院国対委員長:
昨日、議長の判断により金融委員会で取り計らいをし、本会議で趣旨説明をし、質疑を行った。異例中の異例であります。総括的に勘案をして採決に値しない。

「ガソリンの暫定税率の廃止」が廃案になった事で影響を大きく受けるのが、運輸業界です。

「サン!シャイン」は、通販サイトなどの荷物を自家用車で運び、ドライバーの現状をYouTubeで発信する、軽貨物ドライバーのこうすけさんを取材しました。

軽貨物ドライバー こうすけさん:
月約1500km以上走って、ガソリン代は3万5000円~4万円ぐらいかかるのがアベレージかと思います。(暫定税率廃止の)法案が通ってくれれば月当たりのガソリンが5000円くらい抑えられるかなと思っていたので、ドライバーの生活にも多少なりとも余裕がでると思っていたので、そこに関しては残念ですね。

燃料費は、全てドライバーの実費負担。それだけに、暫定税率の廃止には、多いに期待していたといいます。

軽貨物ドライバー こうすけさん:
電話一本でみんな簡単に来てくれると、お客さまからしたら思われているんでしょうけど…。行かなきゃいけないですから、ガソリン代自分で払って。呼ばれたから行ったんだけどいなかったというのも、結構あるあるですから、この業界では。

上がり続ける燃料費…ドライバーの担い手不足にも

さらに今国会では、ガソリンだけでなく軽油の暫定税率も見送りとなり、軽油を燃料とするトラック業界からも落胆の声が…。

埼玉県にある運送会社「川里運輸倉庫」の島村夕紀子取締役は、値上がりし続ける燃料代が経営を圧迫していると話します。

川里運輸倉庫 島村夕紀子取締役:
廃止になればという期待があったんですけれど、あーまたか…またかって。
今回も(議題に)上がったけど、きっと無理だなっていうのが、やっぱり周り(運送会社)からも聞こえていました。

川里運輸倉庫 島村夕紀子取締役:
4月の請求分から前月より(上がり幅が)6円ぐらい上がるよというお知らせのお手紙が来ました。去年の12月から4月までだいたい10円弱ぐらい上がっています。
燃料で20%上がって、全体経費で1割上がる状態になっているので、とても大変になっています。適正な運賃に転嫁するように、私たちも一生懸命運賃交渉していますが、なかなか難しい状況にあるので、国からのバックアップが必要だとすごく感じております。

全日本トラック協会によると、燃料価格が1円下がれば、業界全体で約150億円の負担が減るということで、負担の軽減を求めています。

上がり続ける燃料代に、減らない負担。
ドライバー歴30年の森山さんによると、その影響は、“ドライバー不足”にもつながっているといいます。

ドライバー歴30年 森山さん(75):
(ここ数年)賃金が上がったかといわれると、全く変わっていない。
賃金が良くならないという事は、この業界に来る方も魅力がないと思うんでね。だから私みたいに、私75歳ですけど、こういう年寄りが働かないとまずいようなことになっているわけですよね。

多くの法案が見送られる中、22日投開票が行われた東京都議会議員選挙。自民党は、過去最低議席で歴史的大敗となりました。

自民党 木原誠二選対委員長:
都議選の結果が直に参院選に直結するものではないと思っておりますし、参議院選挙は参議院選挙として、しっかりと戦っていきたいと思っております。

果たして、“先送り”のツケは、7月の参院選にも影響を及ぼすのでしょうか。
(「サン!シャイン」 6月24日放送)