22日、トランプ大統領は、イラン国内にある、3つの核施設への攻撃に成功したと明らかにしました。

そのうちの一つ、“フォルドゥ”はイランの核開発の中心となる拠点。その攻撃に使われたのが「バンカーバスター」です。
「バンカーバスター」とは、地下深くにある軍事施設などを破壊する目的で設計された特殊な爆弾で、その中でも最大級の「GBU-57」14発が実戦で初めて使用されたとみられています。

13日にイスラエルの先制攻撃で始まった、両国の攻撃の応酬。
これまでトランプ大統領は、「やるかもしれないし、やらないかもしれない」と軍事介入の可能性を示唆しながら、イランを牽制。20日には「2週間が限度」と発言しましたが、その発言から一週間も経たずの攻撃となりました。

このトランプ大統領の決断に対して、イスラエルのネタニヤフ首相は、「アメリカは巨大な力をもって行動してくれましたトランプ大統領、感謝します」と称賛を送った一方で、イラン側は「この攻撃は許しがたいものであり、終わることのない影響をもたらすものだ」と反発しました。イラン原子力庁は、今後も核開発も継続するとしています。
アメリカの介入により一層緊張感が増す中、今後、考えられるシナリオとは?

中東情勢に詳しい 国際開発センター研究顧問 畑中美樹氏:
イランとしては、中東湾岸地域にあるアメリカの軍施設、あるいはアメリカの政府関係施設、あるいはアメリカの市民そのものを標的として攻撃をしてくるということが考えられます。世界にとって、脅威が格段に高まっているんだというふうに考えています。
“勝ち馬”に乗った?世界のルールを飛ばした突然の攻撃
20日には、「期間を与えるが、2週間が限度だろう」と発言していたにもかかわらず、その後すぐの攻撃となったことに対して、アメリカの政治や外交に詳しい、上智大学総合グローバル学部の前嶋和弘教授は…。

上智大学 前嶋和弘教授:
色々なことがあると思いますが、(トランプ大統領の発言は)あくまでもポーズだったのかも知れません。
そして、イスラエル側とイランが紛争していて、イランからミサイルが出てきて、イスラエル側はそれを迎撃するアイアンドームというのがあるのですが、もう弾があまりないらしいと、これもあって早めたという見方もあります。
今回は、イスラエルとアメリカは一緒に動いていますので、話し合いながら、いつがいいんだと。

――なぜイスラエルはアメリカにそこまで影響力が?
トランプ氏の支持層は、アメリカファースト、アメリカ第一主義の人たち、「他の国と戦争しない、それがいいんだトランプは」という人もいるんですが、徹底的にイスラエル支援という層もいるんですね、これは福音派というんですけど、イスラエルというのはあそこにあるべきで、パレスチナの地はユダヤ人に与えたと神が言っていると。この人たちは徹底的にイスラエルを守ろうとする、トランプ大統領の最大の支持基盤です。
あともう一つ、そもそもイスラエル側は攻撃をしていますので、イランがかなり弱体化していたと、制空権を奪ったというのもありますので、このタイミング「勝ち馬に乗った」と。いずれにしてもトランプ大統領としては、ギャンブル的なところはあります。
「今だったら長年の悲願を達成できる」と、こう考えたわけです。

――今回のような規模の作戦を今後も行う?
今のところ今後のことは言っていないけれども、B2爆撃機の動かし方を見てもかなり計画していて、この手の計画マニュアルはいっぱいあると思うんです、次はこうして…と。だから今回だけでは終わらないぞというところはあるかもしれません。

――アメリカは「世界の警察」のつもり?
世界の警察ならルールを守りますよね?
今回は国内的にも説明していないし、フセインの時は国連に行ってそれを説明しましたよね?今回それが全くないですから。要するに、世界の警察ならルールは守りましょう、なんですが、どうなんですかね?ルールを飛ばして自分の利に近い、イスラエルを守るために動いたとすると、これは警察ではないような気がします。

――最悪の場合どのような展開が考えられるのでしょうか?
アメリカの施設が中東にいっぱいありますので、イラン側が攻撃してくる、アメリカ人が血を流す、そうすると、今のところ空爆の度合いをアメリカが強めていく可能性があります。
あとは、数時間前のトランプ氏のSNSを見ると、体制転換もあり得るみたいなことを言い出しているので、本格的な戦争になってくると、エネルギー問題など我々もありますが、世界がすごく不安定になりますよね。

――今後、良くなっていく可能性はあるのでしょうか?
そもそも論なんですよね、イランが核の濃縮をしている、これを諦めるとなったらおそらく良くなっていく。体制転換までしたら、アメリカ第一主義の人たちが「なぜアメリカがこんなにイランに攻撃するんだ」となってしまうので、それを避けながら、核を諦めさせた段階でOKになるのですが、イランとしては、そもそも核は平和利用で原子力発電をしているという主張です。「イランが核の開発をしている、そしてこれがきょうあすにも核兵器になる」と言っているのはイスラエルであって、アメリカ国内のインテリジェンスの人は、トップが国家情報長官ですが、まだ数年かかると。
でも、トランプ大統領はイスラエル側の話を聞いちゃったんですけど…だから、それでいいのかと。
イラン側は平和利用。アメリカとしてイスラエルとしては、これは核兵器だと。ここが平行線なので、諦めるか諦めないか大きな問題があります。
あとは、バンカーバスターがどれだけ効いたか、これは分かっていません。

MC谷原章介:
双方にパイプがある日本の政府としては、強く両方ともに自制を働きかけてほしいですね。
(「サン!シャイン」6月23日放送より)