音楽の低音域を担当し、リズムや和音の基盤を支える「低音楽器」。中でもチューバなどの金管楽器だけで編成する演奏集団が秋田市にある。「子どもたちの憧れになるような演奏をしたい」と、伴奏だけではない低音楽器の真の魅力を伝えようと活動を続ける人たちを紹介する。
マイナー楽器の可能性を追求
部屋に響き渡る重厚な音色。
演奏しているのは、秋田市で活動する「秋田金低合奏軍団バークライ」だ。

2025年で結成16年目を迎えたバークライは、チューバとユーフォニアムの低音域の金管楽器だけを使う楽団。低音楽器をメインにした楽団は珍しく、秋田県内ではバークライだけだ。
団員の石沢拓也さんは「マイナー楽器で人目につかないので、集まろうともしないと思う」と話す。
一般的な吹奏楽でのチューバは、低音を生かして伴奏を担当することがほとんどで、花形であるトランペットなどと比べると目立たない。しかし、低音楽器だけで編成する楽団だからこそ、できる演奏がある。

秋田金低合奏軍団バークライ・石沢拓也さん:
チューバは吹奏楽だと伴奏に回ることが多いが、アンサンブルという形では普段求められないメロディーとか技術が求められる。ユーフォニアムは普段は豊かな音とか響きのある音が魅力だが、あえて激しく吹いてみたり、静かに吹いてみたり、チューバの後ろに回ってみたり、とにかく可能性がもっとあるというのが面白い。
家族やメンバーの支えで活動継続
バークライのメンバーは現在20人ほど。サラリーマンや学校の先生など、仕事をしながら活動を続けている。

5年前に入団し、子育てをしながら演奏を楽しんでいる進藤奈菜さんは「子育てで離れてしまうとやめてしまう人が結構いると思う。家族やメンバーの支えがあると、将来的に趣味を続けるいい機会だと思う」と話す。
子どもたちが憧れる演奏を
バークライは、演奏会や大会に向けて月に2回ほど練習を行っている。

2022年にはアンサンブルコンテストの県大会で優秀な成績を残し、秋田県の代表として東北大会に出場した。

5月10日には秋田市で演奏会を開催し、その重厚な音色が訪れた人たちを魅了した。
団員たちは「吹奏楽に取り組む子どもたちの憧れになるような合奏をしたい」と意気込む。

石沢拓也さん:
この編成を聴いたことがない人はたくさんいると思う。大きい楽器で、もこもこしていて。でも、聴いた人の頭の片隅に「こんな編成があって、こんなやり方もあって、こんなことができるんだ」と少しでも残ってくれたら、やっているかいがあったなと思う。
秋田金低合奏軍団バークライは、これからも仲間とともに低音楽器の魅力と可能性を広めていく。
(秋田テレビ)