岐阜・美濃市は、2025年度から市内にある5校すべての小学校で、1年生の「通知表廃止」を決定しました。さらに、2026年度以降には、2年生も追加され、1・2年生の通知表が廃止となります。

市全体での通知表廃止は全国的にも珍しい取り組みとなりますが、その理由につて美濃市教育委員会は…。

美濃市教育委員会 島田昌紀教育長:
子供が何に注目するかというと、例えば「◎」があったかどうか、「△」があったかどうか、劣等感を感じて自信や意欲を失うことがないように。仲間関係の序列につながらないようにということが大きな目的です。
通知表をなくす代わりに、年に2回、保護者との個別懇談で、学習や生活状況を伝えるほか、学年末に渡す「修了証」と共に1年間の所見を書くことになりました。

この決定に保護者たちからは、賛否の声が…。
【廃止に賛成】年少と小学2年生の保護者:
一生懸命やっていれば、それがその子のやり方なので。成績で評価をつけてもらわなくても、毎日元気に行ってくれれば、それで十分かなと思っている。
【廃止に反対】小学4年生の保護者:
あったほうがいいなと思います。今は運動会も順位をつけないとかあるので、ちょっと周りと競争して頑張った方が、もっと成長するんじゃないかなと。
“学びの姿勢”を知るときに「通知表」は邪魔?
「サン!シャイン」の出演者たちは、この決定をどのように感じたのでしょうか。
人気ドラマで先生役を演じた武田鉄矢氏は、「賛成」の立場を表明しました。

スペシャルキャスター 武田鉄矢:
学校に入ったばかりの子供たちにとって、1・2年生にとって通知表は学力を数字で表すのは必要だろうかと。
それよりも1・2年生にとって一番重大なのは、毎日に学校に行くとか、先生の話を静かに聞くとか、元気いっぱい答えるとか、そういう学校生活の基本、“学びの姿勢”といいますか、教えてくださる方に頭を下げる、これを知っておけば、一生損をしないんです。その“学びの姿勢”みたいなときに、通知表というのは案外邪魔なんじゃないかと思って。
6人の子どもがいるメインキャスターの谷原章介は、「内容によっては…」と札を半分にしながらも、どちらかといえば「反対」とする理由をこう話します。

MC谷原章介:
(通知表に)具体的に何ができる、何ができないと書かれていた上で「〇」「△」はちょっと1年生としてはやりすぎかな?と、そういう意味では通知表の在り方を変えることには賛成ではあるんですが…。
今回1・2年だけじゃないですか?もし、“相対評価”をやめて、その子単体の“絶対評価”を見るのであれば、僕は1・2年だけじゃなくて、義務教育の中学3年までなくしてもいいんじゃないの?と思います。そういう意味では、1・2年だけやめるのは反対だと。
宮澤智アナウンサー:
(反対だったんですが)いろいろ議論をして、揺らいできてしまって…。
子どもが何に興味があるのか、得意・不得意を知りたいなとは思うんですけど、やはり1年生の壁とかもありますし、あまりその段階で評価をつけるのは…いらないのかなと。
「通知表のない」世界の他の国は…?
すでに通知表を廃止している国では、どのように運営しているのでしょうか。
海外の教育事情に詳しい新潟医療福祉大学の佐藤裕紀氏よると、人間的な成長を重んじる教育方針のデンマークでは、日本の小学1年生から中学1年生に相当する学年では、成績を数値等で伝える、いわゆる“通知表”のような仕組みがないといいます。

代わりに、学校は保護者に対して最低年に1回、生徒の学力テスト結果・学習の到達状況・今後の方向性などを共有する仕組みになっており、通知表などの評価にとらわれない教育で、学習意欲の向上などに役立っているということです。

スペシャルキャスター 武田鉄矢:
得意なことが1つだけでも分かれば、それは立派な教育だと思いますので、そういう意味では、私は、通知表は必要ないかなと。
(「サン!シャイン」 6月17日放送)