1978年に発生した宮城県沖地震から47年が過ぎた。阪神・淡路大震災や東日本大震災など、その後の災害のインパクトに隠れてしまっているが、約38年間隔で繰り返し襲ってくる大地震が備えるべき災害なのは変わらない。2011年の巨大地震により、一旦そのタイマーはリセットされたとみられている。しかし、研究者によると、次の地震はこれまでの間隔よりも早く襲ってくる可能性があるという。

宮城県沖地震(1978年)
宮城県沖地震(1978年)
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宮城県沖で繰り返す大地震

1978年の宮城県沖地震はマグニチュード7.4、最大震度が5(当時の基準)だった。北海道から関東地方の太平洋沿岸では津波も発生。仙台新港で30センチ、釧路で17センチ、鹿島港で16センチが観測された。津波による被害は確認されなかったが、ブロック塀の倒壊などで、子供を含めて宮城県で27人、福島県で1人が亡くなった。

ブロック塀倒壊による犠牲者が多かった
ブロック塀倒壊による犠牲者が多かった

一般に、宮城県沖地震とされているのは、宮城県沖の陸寄りで繰り返し発生するマグニチュード7.1から7.4の地震のことで1897年以降、4回発生している。

30年以内は80%~90%

政府の地震調査委員会は、日本周辺の海底や全国の活断層で想定される地震の発生確率を毎年1月1日時点で計算し、公表している。それを見ると、宮城県沖地震は10年以内の発生確率がほぼ0%~3%。一方、30年以内では80%~90%と予測されている。

地震調査委員会(2025年1月)
地震調査委員会(2025年1月)

その理由は、宮城県沖地震の持つ規則性だ。宮城県沖では海側の太平洋プレートが陸側の北アメリカプレートに少しずつ沈み込んでいる。プレートの境界にひずみができ、それが沈み込む力に耐えられなくなると、陸側のプレートが跳ね上げられ地震が発生する。その周期が平均すると37年から38年とされている。

宮城県沖地震はプレート境界型地震
宮城県沖地震はプレート境界型地震

2011年に“リセット”も油断できず

2011年、東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震により、宮城県沖にたまっていたひずみは解放されたとみられ、現在は2011年を起点として、宮城県沖地震の周期の計算がされている。10年以内の発生確率がほぼ0%~3%と低くなっているのはそのためだ。しかし、海底で起きる地震を研究する東北大学災害科学国際研究所の木戸元之教授は、次の宮城県沖地震が平均周期よりも早く発生する可能性を指摘している。

東北大学災害科学国際研究所 木戸元之教授(右)
東北大学災害科学国際研究所 木戸元之教授(右)

その理由は「余効すべり」だ。余効すべりとは、大きな地震の後、プレートが地震を起こさずにゆっくりと滑る現象のこと。木戸教授によると、震源域の周囲で余効すべりが進むことで、「ひずみがより早くたまりやすくなり、これまでより早い周期で次の地震が発生する可能性がある」という。

情報の生かし方が大事

東日本大震災の後、宮城県沖地震の想定震源域周辺では余効すべりが起き、ひずみが蓄積しているとみられている。木戸教授は「学問的には十分証明できてはいない」と前置きした上で、「そういう説もあるので、向こう10年は非常に確率が低い状態でも警戒はしてほしい」と話す。

木戸教授は「情報を避難に生かすことが大事」という
木戸教授は「情報を避難に生かすことが大事」という

ただ、ずっと緊張感を持ち続けることは難しい。木戸教授は、情報が出されたとき、すぐに避難行動に移ることが大事として、負担にならない対策を呼びかけている。
例えば、以下のような対策があるという。

・避難用品をまとめたリュックサックの準備
・家具の固定
・避難生活を見据えた非常食の準備
・家族で避難経路や連絡方法を確認しておく

予測はあくまで確率論だが、シミュレーションや観測技術は日々進歩し、正確さを増している。いつ起きるかよりも、起きたらどうするかを考えることが、命を守る行動につながっている。

仙台放送
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