福島県会津美里町で100年以上続く老舗納豆屋「新田商店」の4代目・新田俊(にった まさる)さんは、初代から受け継いだ「経木納豆」の伝統を守りながらも、乾燥納豆など新たな商品開発に挑戦し続けている。地元に愛され、縁起物として神社にも置かれるようになった納豆の可能性を広げる挑戦の日々を追った。

初代から受け継ぐ「経木納豆」

会津美里町で納豆一筋、創業102年を迎える新田商店の4代目・新田俊さん(39)。
新田商店の看板商品は、アカマツの薄い皮「経木(きょうぎ)」に包んだ納豆だ。初代から受け継いできた「経木納豆」は、豆の柔らかさと納豆特有の匂いが少ないのが特徴。

経木納豆 初代から受け継いできた看板商品
経木納豆 初代から受け継いできた看板商品
この記事の画像(7枚)

「しっかり洗浄して時間かけて浸水させて、炊き方も結構じっくり時間長めにとって、ふっくら炊き上げる。大豆本来の良さみたいな部分が引き出せれば、納豆臭いような納豆ではないのかな」と新田さんはいう。

地元の人の声に気づかされ

「代々守られてきた新田商店を継ぐつもりは無かった」そう語る新田さんの背中を押したのは、地元の声だった。「とあるおばあちゃんに『私はあなたのとこの納豆じゃないとダメだ』と言われて、先代たちが作ってきた納豆がそういう存在なのだということに気が付いたと」と新田さんは振り返る。

新田商店 初代・佐一さん
新田商店 初代・佐一さん

「先代たちが守ってきた味を未来へつなぎたい」そんな思いを胸に、納豆の新たな可能性を追求する新商品の開発が始まった。これまでに開発してきた納豆は、10種類以上にのぼる。なかにはタレに会津の山塩を使った納豆もあった。

納豆を海外にも

先代たちから受け継がれてきた技術を使って、この日も新田さんは工場に立ち新商品の開発に挑んでいた。新田さんがいま開発を進めているのは、会津坂下町「八二醸造」の玄米醤油麹とコラボした乾燥納豆。

八二醸造・高久祐一郎さん(右)と新商品開発
八二醸造・高久祐一郎さん(右)と新商品開発

納豆独特の食感が気にならない乾燥納豆は、納豆が苦手な外国人でも受け入れてもらいやすく、海外への販路拡大のきっかけにしたいという狙いがある。

伝統を守りつつ可能性を追求

新田さんが開発を続ける理由は、先代から繋いできた味を後世につなぎ、納豆の新たな可能性を追求していくためだ。

会津の山塩を使った商品
会津の山塩を使った商品

「既存の納豆をゴールと捉えるのではなくて、まだ先があるようなモノとして捉える。伝統を守っていく部分、ずっと後世に繋いでいければいいなという部分と、新しい納豆の開発を進めていければいいかなと思っている」と新田さんはいう。

伊佐須美神社だけで取り扱っている「鬼笑い干し納豆」
伊佐須美神社だけで取り扱っている「鬼笑い干し納豆」

2025年2月からは伊佐須美神社にも縁起物として商品が置かれることになった。
新田さんは「地元に愛されるような納豆でありたいですし、県外のお客様にも認知されるような納豆になれば。新しい納豆を超えた納豆が開発できればいいなと思います」と語った。

新田商店・4代目 新田俊さん
新田商店・4代目 新田俊さん

“納豆を超える納豆”を目指して、4代目の挑戦が続いていく。

(福島テレビ)

福島テレビ
福島テレビ

福島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。