2026年1月に開業し、まもなく半年を迎える宮崎県小林市の便利屋「オト便利軒」。乙守さん夫婦の仕事は地域の「困った」に寄り添い解決する、まさに“現代版の百姓”と呼ぶべき便利屋だ。魅了された土地で、自分たちで暮らしを作る彼らの挑戦を追った。
二人三脚で営む便利屋
宮崎県小林市、えびの市、高原町の西諸地域を中心に活動する乙守樹さんは、2026年1月に妻の楓さんとともに便利屋「オト便利軒」を開業。2人の子どもとともに4人で暮らしている。
便利屋としての仕事内容は、引っ越しやゴミの処分、庭の草刈り、水漏れ修理、伐採・伐根、さらには住宅の修繕や家具の製作まで、驚くほど多岐にわたっている。

ある日、地元のレストラン・キッチンマカロニから「雨天時に雨どいから水があふれ出てくる」との相談が届いた。
依頼主 キッチンマカロニ 鈴木大志さん:
新燃岳の灰や葉っぱが詰まっているのかな。
乙守樹さん:
たぶん、雨どいと縦どい、マスが詰まっていると思うので、清掃させていただきますね。

樹さんは一人で、詰まった落ち葉や泥を手際よく取り除いていった。

また別の依頼主からは、高齢者向け配食サービスを行っているが「お弁当を盛り付ける際にお弁当箱を並べるスペースが足りない」という相談を受け、既存のテーブルの天板を作り変えた。1度にすべてのお弁当箱をテーブルに並べることができるように採寸し、ピッタリサイズに製作。

依頼主 堤下真弓さん:
ちょっとした困ったことをなんでも依頼を受けてくれるので、私もお願いしやすいです。地域密着型っていうのが強い、また親近感があるので本当に頑張ってほしいなと思ってます。
便利屋の仕事について樹さんは「楽しい。お客さんにじかに“ありがとう”“助かった”と言ってもらえることがたくさんあって、そういう関係性の中でお仕事させてもらえるというのが僕としては楽しくて。励みになっている」と話す。
原点は祖父母
現在30代の樹さんは、20代をいろいろなことを習得する期間と決め、電力会社や林業、板金業、農業、海外へも行き、さまざまなことに挑戦してきた。

たくさんの経験を積んだ樹さんは、多様なことに対応できる力がついてきたという。
そんな樹さんが便利屋を志した原点は、農家だった祖父母の姿にある。

「百姓」という言葉には「百の仕事をこなす人」という意味があることを知り、現代版の百姓として、何でも自分たちの手で解決できる力を養いたいと考えるようになったという。
夫婦で築く信頼感
仕事の現場を樹さんが担う一方で、妻の楓さんは営業や事務、広報活動で夫を支えている。沖縄県出身の楓さんは、結婚を機に樹さんの地元である宮崎へ移住した。

妻 楓さん:
どういうことで困ってそうか見つつチラシを入れたり、地域の方とお会いできる機会でもあるので、お話しさせてもらって「よろしくお願いします」と認知活動をしています。
小林市である理由
二人が小林市を拠点に選んだのは、子供たちの教育環境を考える中で出会った、地域の温かさが決め手だった。

妻 楓さん:
息子が縁あって小林市の保育園に入園することになりまして、小林の地域の方、保育園のパパママ先生、近所の方たちと仲良くなっていって、すごく皆さん桁違いに優しくて。あぁすごくいい地域だなって、どんどん惹かれていった。
乙守さん夫婦にとって、便利屋はゴールではない。専門の職人に頼りきりになるのではなく、自分たちの暮らしを自分たちの手で作る。その大切さを、仕事を通じて地域や次の世代へ伝えていくことが大きな目標だ。
地域の方からは
蓄えた技術とノウハウを地域に還元している乙守さん。町の便利屋さんとして多くの人の支えになっている。

依頼主 キッチンマカロニ 鈴木大志さん:
乙守さんはいろんなことを考えているので、最高やなと思って。応援したい。「推し」です。
乙守樹さん:
小林の方たちがお家で困ったことがあったときに「あ、オト便利屋さんを呼ぼう」と思ってもらえるように頑張っていきたい。
地域の「困った」に寄り添い、確かな技術で笑顔を届ける乙守さん夫婦。「現代版百姓」を目指し、自分たちの手で暮らしを作るその挑戦は、これからも地域と共に続いていく。
(テレビ宮崎)