北海道・倶知安町のシンボルで日本百名山の1つに数えられる「羊蹄山」。
美しい姿から「蝦夷富士」とも呼ばれ親しまれていますが、その麓で、無許可の大規模開発工事が行われているといいます。

山へ伸びる1本道の先には、森林を切り開いた大きな空間と、建設途中とみられる巨大な建物が。

そばにもうひとつ、別の建物の基礎とみられるものも確認できます。

2年ほど前から無許可で工事を始め、違法に森の木々を切り倒している疑いが浮上しているこの場所。工事現場の看板には、建築主として外国人とみられる名前が記載されています。

「サン!シャイン」が建設工事を請け負っていた札幌の建設会社に取材すると、中国でエンジニアをしているという依頼人に頼まれたと話し、一見ホテルのようにも見える巨大な建物は“別荘”だと説明を受けているといいます。

地元住民から相談を受けたという早川貴士町議によると、現場を確認しにいった地元住民が、中国語とみられる言葉で話す作業員に取り囲まれたという話も…。

倶知安町 早川貴士町議:
ものすごく木を切っているんじゃないかというところで、見に行かれた町民の方が、作業していた方々に囲まれてしまって。車で囲まれたって聞きましたね。なかなか帰れなくなってしまって、非常に怖い思いをしたと。
申請書は未提出…無許可の森林伐採
一体現場で何が起きているのか。
11日に現場を訪れた「サン!シャイン」の取材スタッフが、ゲートのそばにいたとみられる警備員に声をかけると、「工事はやっていないと思う」といいます。

しかし、5月27日に地元住民がドローンで撮影した映像には、巨大な建物の屋上に作業員らしき人の姿が。

北海道によると、地元行政などから通報を受け2025年1月に立ち入り調査を実施したところ、建築に着工するために必要な申請書が提出されていないことが判明しました。
問題はこれだけではありません。

倶知安町 波方真如町議:
今きれいに整地されているような感じになっていますけど、元々は木が生えていました。それが伐採されてしまっているんですよね。

3月に撮影された写真では、道路のすぐ横には森が広がっていましたが、11日に同じ場所を見に行くと、木が伐採され電柱が立っていました。
この伐採も、行政の許可なく勝手に進められたことだといいます。

倶知安町 波方真如町議:
なんせ今回は無届けだったということで、そこが本当に大きな問題にするところだと思います。

1ha以上の森林の伐採には事前に行政の許可を得る必要がありますが、無許可のまま行われていたため、「森林法違反」にあたるといいます。
必要な申請をせずに工事をスタートさせた理由について、建設会社は当初、倶知安町に申請の相談をしたといいますが…。

建設会社関係者:
開発主(業者)の方からそのあたりの申請が出てないから、受けることができないというふうに我々の方が言われて。
私たちもお客さまと契約を結んでいるので、着工しなければならないっていうのがありましたから、板挟みの状態で始まったというのが実態ですね。
道路を作っている会社さんが木をいっぱい切っちゃって、私たちの下請けさんも誤って木を切ってしまったという部分もあったので、落ち度こちらにはあると思います。

道路工事などを行う開発業者の提出書類に不備があったため、行政側に建築確認申請書を受け取ってもらえなかったと主張。
また、必要な手続きをせずに森林の伐採を行ったことについては、道路工事などを行った開発会社と、建設会社の下請けの会社がやったことと説明し、自分たちにも落ち度はあると話しました。

6月4日、北海道は再度、現地の立ち入り調査を行い、伐採作業の中止を勧告。
環境を保全し森林の機能を維持するための復旧工事計画書の提出を事業者側に求めています。また、建設会社は、「サン!シャイン」の取材に対し、今後は「法令を遵守しながら進める」としています。
(「サン!シャイン」 6月11日放送)