自民・公明両党の幹部が会談を行い、税の増収分を財源に数万円の現金やマイナポイント給付で国民に還元する策を、7月の参院選の公約に盛り込む方針で一致した。
給付額や所得制限、ポイント併用の是非は、今後協議するという。
税増収分を給付で還元…現金・ポイント給付を選挙公約化
自民・公明両党の幹部が10日午前、東京都内で会談し、現金などの給付を7月に行われる参議院選挙の公約に盛り込むことで一致した。

自民党・坂本国対委員長:
(与党幹部の会合で)税の増収分を給付という形で還元をするという認識で一致しました。

会談には、自民党の森山幹事長や公明党の西田幹事長らが出席し、国民に対する現金などの給付を行うことで一致した。両党は、それぞれの参議院選挙の公約に盛り込む方針だ。
自民党内で1人あたり数万円の現金給付を行う案が浮上する一方、公明党はマイナンバーカードを取得した人などに付与する「マイナポイント」の形での給付を求めている。

今後両党は、給付額や給付方法、高額所得者に対する所得制限を設けるかどうかなどについて協議する見通しだ。
「票は集まらない」自民党内で冷ややかな声も
ここからは、フジテレビ・政治部の木村祐太与党キャップが解説する。
青井キャスター:
公約に現金など給付を盛り込むことで一致しましたが、気になるのが1度やめた現金給付がなぜ再びなのか、一人数万円とはいくらなのかという点です。
与党は4月に現金給付を検討しましたが、その時は見送りました。10日、立憲民主党の野田代表はバラマキという批判があって引っ込めたのではないかと批判していましたが、なぜ今再びなんでしょうか?

政治部与党キャップ・木村裕太さん:
与党は4月にいったん見送りましたが、その後、野党各党が消費税の減税策を一気に打ち出しました。これを受けて、選挙を控える自民党の参議院議員から何も打ち出さずには戦えない、つまり何かやってほしいという声が大きく上がりました。
その結果、野党の減税に対抗する政策として、税率を変える手間がない給付、即効性がある給付が良いという方向に傾きました。ただ、今回また出てきたこの給付案については、閣僚や自民党の幹部の間でも、こんなことで票は集まらないという冷ややかな声が出ているのも現状です。
青井キャスター:
財源について、与党は税収の増加分などを活用して国民への還元を行うとして認識が一致しているということでしたが、皆さん気になるのが給付の金額だと思います。過去の例ではコロナ給付金10万円が出ました。2024年の定額減税は4万円(所得税3万円、住民税1万円)でしたが、金額はズバリいくらぐらいなんでしょうか?

政治部与党キャップ・木村裕太さん:
ズバリ答えられなくて申し訳ないですが、与党の関係者に聞くと、4万円から5万円という案が出ています。なぜこの額なのかと言いますと、2024年に定額減税がありました。4万円だったので、4万円を基準として、それと同等かそれよりも増やすべきだといった声が与党内から出ているからです。ただ、あくまで案ですので、今後具体的な額の調整が行われることになります。

小山内キャスター:
公明党は、マイナンバーカードを取得した人に付与するマイナポイントという形で給付を求めているということですが、マイナンバーカードを持っていない人はどうしたらいいのでしょうか?
政治部与党キャップ・木村裕太さん:
公明党関係者に実際に聞きました。持っていない人には現金で給付するとの答えが返ってきました。つまり、ポイントと現金の合わせ技になるんですが、だったら全部現金の方がシンプルではないかと、さっそく自民党内から声も上がっています。しかし、マイナポイントですと有効期限内に使うことで、貯蓄に回さずに必ず消費に使ってもらえるというメリットなどがあります。これも、今回どうなるか注目ポイントの一つだと思います。
青井キャスター:
野党からは消費減税なんていう話も出てますが、与党は現金給付一致ということでどう見ますか?

SPキャスター山口真由さん:
インフレによる税収の上振れを是正するのであれば、基礎控除の恒久的な引き上げが筋だったんじゃないかと思います。給付よりも消費減税の方が経済効果が高いと言われてる中で、今これを出す、それで国民に響くと思っているのは、国民のリテラシーをどう考えてるのかという気がします。
青井キャスター:
ただ、これを参院選の公約に盛り込んだとしても少数与党なわけですから、実現度はどれぐらいなのでしょうか?
政治部与党キャップ・木村裕太さん:
少数与党の中で実現のためには、参議院選挙の後に国会を開いて、予算がありませんから予算を組んで実行する必要があるので、また野党の協力を得て通さないといけないという、少数与党としては苦しい部分があります。参議院選挙で公約として打った以上は、石破政権が参議院選挙後にも続くのであれば必ず通さないといけませんから、野党の協力、他のものを野党に譲歩してでも通す、その覚悟はあると思われます。
青井キャスター:
もし配られるなら、いつ頃になるか分かるんでしょうか?
政治部与党キャップ・木村裕太さん:
公明党の幹部が、2025年内にと言っていました。ベースは年内を目指すとは思うんですけれども、これがまた給付が現金なのかポイントなのか、所得制限をどうするのか、議論があると思いますので、どういう形になるかによって年明けになるのではないかという見立てもあります。しばらく時間がかかると思います。
給付や減税を巡っては、立憲が食料品消費税ゼロ(原則1年)や一律2万円給付、維新が食料品消費税ゼロ(原則2年)、国民が消費税5%(時限的)、れいわが消費税廃止、共産が消費税廃止を目指し5%に緊急減税などの政策を打ち出している。
(「イット!」6月10日放送より)