石川県民に愛される飲食店を紹介する人気コーナー「イトシメシ」。地元の方々に「いとしおしいグルメ」を聞き、その店の味を伝える企画だ。今回は石川県小松市にある創業40年の中華料理店「錦」を訪ねた。

「餃子が好きすぎて…」地元民が語る名店

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まずは小松市の道の駅こまつ木場潟で、聞き込みを敢行。

ある男性のイトシメシは南加賀地区にある3軒の中華料理店。いずれも餃子が絶品らしい。「それぞれに良さがあるので1番2番3番というよりも全部1番です」と語る男性。

今ならどの店行きたいか聞くと「一番近いのは『錦』です」とのこと。そこで今回は、この道の駅から車で約10分の場所にある中華料理店「錦」を訪問することにした。

「料理は日々研究」究極のシンプルさを追求した絶品餃子

小松市矢田野町にある中華料理・錦。1984年に創業し、40年以上地元の人たちに愛される町中華だ。

鍋をふるうのは「料理は日々研究」と語る永原実さん。そんなご主人が未だに発展途上と話すのが、今回のイトシメシ、“焼き餃子”だ。客は「味がしっかりしていて、美味しいです」と笑顔で答えていた。

早速、石川テレビの沼本若菜アナウンサーがライスと一緒に実食!「いただきます!何個でもいけちゃう餃子ですね。お肉がぎっしり入ってる。お肉以外にも野菜のしゃきしゃき感があってバランスがいい」と絶賛。

永原さんは「餃子はシンプルな方がより食べやすいんじゃないかと思って。いろんな具材が入ってたんですけど、ひとつずつ抜いていって今の形になりました」と説明する。

「長い道のりだったんじゃないですか?」という問いに「何十年ですね」と答える永原さん。シンプルさにこだわったことで、愛される味となった錦の餃子。あんには豚肉、キャベツ、ニラの具材のほかにニンニクやショウガ、豚の背脂を秘密の割合で調合しているそうだ。

「餃子はヒダが7つなんです」徹底したこだわりに驚き

さらに、ご主人のこだわりは包み方にもあった。

「食べるときって『ヒダ』がいくつかあるか考えないでしょう?『錦』は7つなんですよ」と永原さん。実際に餃子を包んで見せると、確かに均等に7つのヒダがきれいに並んでいる。

最もおいしいと思える食感を生み出すために到達した7つのヒダ。味や形、食感にもこだわり、客からも愛される錦の餃子だが、永原さんにとって理想の味にはまだ達していないと言う。「どうしたらお客さんに喜んでもらえるか、いつも思うけどなかなか到達できない。終わりがない。ずっとやっていかないといけない。負担だけどそれが楽しい。オタクですよね」と笑う。

「すごく頑固な人なんです」妻が明かす料理人の素顔

そんな「餃子オタク」の永原さんと共に店を切り盛りする妻の昌美さんからは興味深い証言が。

「すごく頑固な人なんです。私の言うことはひとつも聞きません。でも参考にはしてくれている。『これどうや?』とか『変わったのわかる?』とか変えたことを言ってくれる」と話す。

永原さんは「『これ以上のものは無理だ』というのを認めたくない」と、こだわりを語る。

「中華のお店でかつ丼?」意外な人気メニューの秘密

ご主人のこだわりあふれる錦の餃子。他にも「錦といえばこれ!」というメニューがあるか聞くと、永原さんは「お客さんからよく注文されるのは"かつ丼"ですね。中華風のかつ丼なんですけど」と教えてくれた。

かつ丼というとカラッと揚げたトンカツをだし汁と卵でとじたものが一般的。しかし、“錦のかつ丼”は一味違う。

「かつ丼なのにあんがかかってる」と驚く沼本アナに対し、「中華ですからあんかけしかないという形で作りました」と永原さん。

錦のかつ丼はラーメンでも使うスープをベースに、注文が入るたびにご主人が特製のあんを作る。卵や野菜も加え、やや甘めに仕上げたあんをごはんとカツの上にたっぷりとかければ完成。多い時には1日50食も注文される大人気メニューなのだ。

「あんに甘味がある。卵との相性もいい。卵の甘さ、おいしさが出ている」と沼本アナ。永原さんは「トンカツのサクサク感、カリカリ感を残したかった。そのためには上にあんをかけるしかないと思って。あんがカツを包み込む形にした」と説明する。

「でもサクサク感があるのが不思議」と話す沼本アナに「そこが難しかった」と答える永原さん。アイデアと技術の結晶である“あんかけかつ丼”は、見た目の意外性とは裏腹に、食べると思わず笑顔になる絶妙な味わいだった。

「美味しかった ありがとう」の言葉が一番の喜び

創業から40年以上鍋を振り続けてきた永原さん。料理へのこだわりの原点には、お客さんの笑顔があった。

「お客さんには美味しいもの食べていただきたい。帰るときに『美味しかった ありがとう』と言っていただきたい。その言葉が一番大好き。そのために変な料理は出せない。『これが一番美味しいだろう』という感覚で提供している」と語る。

これからの意気込みを聞くと「末永くお客さんに来ていただける、気軽に寄ってもらえるお店にしたい。それと、今『塩味』の料理に凝っているのでそれも提供したい」と話す永原さん。その探求心に終わりはなさそうだ。

中華料理 錦 
住所:石川県小松市矢田野町ヌ18-1
電話:0761-43-2818
定休日:月曜午後・火曜
営業時間:(要問合せ)
※小松駅からだと国道305号線、旧国道8号線を加賀方面に進むと見えてくる。

(石川テレビ)

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