相続の前にやっておきたい3つのこと

1つ目は、実家の価値について事前に調べておくことです。不動産業者に査定を依頼するなどして、仮に売却となった場合の市場価値は知っておきたいところです。おおよその金額が分かれば、相続人の間で話し合うときの参考となります。もし流通性がないようならば、相続放棄などを視野に入れることができます。

2つ目は、親が不動産を渡したいと思っている人がいるなら、遺言を作成することです。遺言があれば、遺産分割協議を経ずに、相続登記をすることができます。遺言の作成にあたり一定の手間がかかりますが、相続が起こった際の手間はその分省くことができるのです。

3つ目は、不動産は手続きが複雑で税金の問題が絡むため、専門家に相談することです。最新の登記簿を司法書士に確認してもらうと、意外なことが分かることがあります。名義がまだ祖父だった、昔の古い担保が残っているなど、把握していない事実が判明したという事例はたくさんあります。

税金については、税理士に相談することになります。相続税のことや不動産を売却した際にかかわる税金があらかじめ分かると、今後の手続きを進めやすくなります。

事前に専門家に相談するのも一つの方法(画像はイメージ)
事前に専門家に相談するのも一つの方法(画像はイメージ)

実家の相続が“まとまらない”とならないよう、これまで述べた方法を検討し、自分の家族の場合はどういった方法がいいのか方向性を定めておくことはとても有益です。相続は持っている知識と準備によって、その負担が大きく変わってきます。

対策を取るためには、「誰かが何とかしてくれるだろう」という発想ではなく、自分から行動することから始めましょう。

自分から積極的に調べたり動いてみると、そこには新たな発見があるものです。誰にでも起こり得る相続…。将来起こり得るリスクを上手く抑えながら自分や家族の人生を設計して頂くことを願っています。

岡信太郎
岡信太郎

司法書士、合気道家、坂本龍馬研究家。大学卒業後、司法書士のぞみ総合事務所を開設。政令指定都市の中で最も高齢化が進む北九州市で相続・遺言・成年後見業務を多数扱う。著書には『済ませておきたい死後の手続き 認知症時代の安心相続術』(角川新書)、『子どもなくても老後安心読本 相続、遺言、後見、葬式…』(朝日新書)、『財産消滅 老後の過酷な現実と財産を守る10の対策』(ポプラ社)など。