シリーズでお伝えしている「みやぶれ!特殊詐欺」。
「警察官」をかたる特殊詐欺が相次いでいるが、6月3日、UHBの社員のもとにも詐欺の電話がかかってきた。
その一部始終だ。
UHB社員のもとに詐欺電話―
3日、UHBの社員のスマートフォンに大阪府警・生活安全課の警察官を名乗る男から1本の電話がかかってきた。
社員は「忙しいので1時間後にまたかけてほしい」と言って電話を切った。
「もしもし●●さん(社員)のお電話でお間違いないでしょうか」(警察官を名乗る男)
1時間後、UHBの記者が代わりに出た。
「キャッシュカードが不正に開設されているおそれがある。資金洗浄ですね、マネーロンダリングを主犯としたイケダタカマサをはじめとした犯行グループの拠点から●●さん名義のキャッシュカードが押収されている」(警察官を名乗る男)
大阪府警の警察官を名乗る男は捜査二課の「ゴトウ」から話を聞くよう促す。
「お電話代わりました、私ですね、ゴトウと申します、大阪府警・捜査二課。経済事案などを担当しています」
「普通に考えれば●●さんがお作りになられたカード、銀行口座にひもづくカード、これは●●さんしか持っていないもの、これを第三者が持っていた」
「間接的もしくは直接的どちらか分かりませんが、そのような形で第三者に渡したのではないかという嫌疑がかけられている。犯罪収益移転防止法に抵触する可能性がある」(いずれも「ゴトウ」と名乗る男)
そして、周りに人がいない環境でビデオ通話にしてマイナンバーカードか、運転免許証のどちらかを見せるよう要求する。
記者は「あとでビデオ通話にするから」と時間をかせぐ。

警察官とは思えないやりとりが続く
「これは結構重い罪なんですか?」(UHB記者)
「ええ、そうですね、3年から5年、まあ5年以下の懲役、あとは200万円以下の罰金というような形ですね、罪としては重いと思います」(「ゴトウ」と名乗る男)
「僕のキャッシュカードってどれぐらいなんでしょうか?そこから資金が使われてたりしてたんですか?」(UHB記者)
「ええと、お伝えできることは今1件でして、残金は300万円ありました、凍結したときに」
「資金洗浄には複数回使用されてはいる」(いずれも「ゴトウ」と名乗る男)
「それがいくらか分からない?」(UHB記者)
「それは捜査情報になりますので、LINEの方でつなげたときにビデオ通話の事情聴取でお話したいと思います」(「ゴトウ」と名乗る男)
「直接会うことは出来ないんですか?」(UHB記者)
「そのような必要性がある場合に置いてはそのような形で対応します」(「ゴトウ」と名乗る男)
「大阪府警に行くってことですか?」(UHB記者)
「はい、お迎えにあがります、北海道まで、大阪の方での調べになります」(「ゴトウ」と名乗る男)
「これは詐欺ではないですよね?」(UHB記者)
「それはもちろん違いますよ、私はこうやってお話をしているわけじゃないですか、もし詐欺だったらもうとっくに切ってるんで電話」(「ゴトウ」と名乗る男)
「僕は本当に疑いをかけられているということなんですね?」(UHB記者)
「はい、さようです」(「ゴトウ」と名乗る男)
男はここで一方的に質問をさえぎりビデオ通話に移ろうとする。

「これで質疑の方は終わらせていただきますので、よろしいですか?」(「ゴトウ」と名乗る男)
「いや、ちょっと聞いていいですか?」(UHB記者)
「現段階では質問は受け付けません」(「ゴトウ」と名乗る男)
「そうですか、最後でよろしいですか?こちら聞いても」(UHB記者)
「最後の一つですか?受け付けません。これ以上は受け付けないといっているわけ」(「ゴトウ」と名乗る男)
「なんでダメなんですか?やっぱり僕は知りたいんですよ」(UHB記者)
「であれば私共にも協力してください」(「ゴトウ」と名乗る男)
「18時(からのビデオ通話)には同意したと思います。教えてくれないと詐欺を疑いますよ」(UHB記者)
「一つよろしいですか、私は捜査情報だから」(「ゴトウ」と名乗る男)

ここでUHBの記者であると身分を明かす。
「お名前もう1回聞いてもよろしいですか?」(UHB記者)
「ゴトウと申します」(「ゴトウ」と名乗る男)
「私申し遅れました、UHBテレビの阿部と申します、こちらは詐欺ですよね?」(UHB記者)
※電話が切れる
後を絶たない“詐欺”の電話
詐欺の電話は後を絶たない。
北海道オホーツク地方に住む20代の男性だ。
3月、仕事中に兵庫県警の警察官を名乗る男から電話がかかってきた。
「あなたの口座が詐欺に利用されている」(特殊詐欺犯)
男は無料通信アプリ「LINE」のビデオ通話に男性を誘導する。
「『個人の顔が分かるものを送ってください』と言われて免許証の画像を送ってしまった」(20代男性)

男は警察手帳と逮捕状を見せ「被害額の1割を入金しないと逮捕される」などと、指定した口座に700万円を振り込むよう要求。
男性は近くの「JAサロマ」に向かうが、窓口の職員が違和感を覚えた。
「口座自体がちょっと犯罪的な口座として使われている可能性があるので、その口座を調べるのにお金を送ってほしいっていう話をされたので、ちょっとそういったことは普通ありえない」(JAサロマ 河井夕紀さん)
男性は職員と1時間以上話し、詐欺だと気付いた。
「止めてもらえなかったら振り込んでいた可能性はありますね。警察から(電話が)かかってくると思わないから。許せないです」(20代男性)
後を絶たない特殊詐欺。
警察官をかたる詐欺をみやぶれ!
