山口県の下関港を母港とする捕鯨母船・関鯨丸が、オホーツク海で捕獲したナガスクジラの生肉が、福岡市の鮮魚市場で競りにかけられた。希少部位の『尾の身』は、最高値1キロ3万円で競り落とされた。
半世紀ぶりに流通“クジラの王様”
6月3日、午前3時―。福岡市の鮮魚市場に並んだのは、商業捕鯨船、関鯨丸が仙台塩釜港で水揚げしたナガスクジラの生肉、合わせて100キロ。

オホーツク海で捕れた“国産”のナガスクジラだ。国内で流通するのは、実に半世紀ぶりのこととなる。

日本で伝統的に行われてきたクジラ漁だが、大型鯨類を対象とした日本の捕鯨業は、IWC(国際捕鯨委員会)からの批判などを受け、中断。その後、2019年にIWCを脱退し、捕鯨を再開した。

水産庁は捕鯨再開後、イワシクジラなどの3種類を捕獲対象としてきたが、北西太平洋・オホーツク海での豊富な資源量が確認されたことから2024年、新たな捕鯨対象として“クジラの王様”と称されるナガスクジラを加えたのだ。
柔らかくとろける食感が特徴
生肉の取引は福岡で初めてとなった記念すべきこの日の競り。尾鰭に近い希少部位の『尾の身』は、最高額1キロあたり3万円で競り落とされた。

競りに参加した『ゆたか水産』鮮魚事業部部長の谷崎広樹さんは「損するかもしれない。それでも誰かが喜んでくれるならいいかな」と話す。

柔らかく、とろける食感が特徴とされ、にぎり寿司のネタとしても適しているというナガスクジラの肉。競り落とされた生肉は、主に福岡市内の飲食店に届けられる。

今回のナガスクジラの生肉は、福岡のほか、仙台、下関、札幌、東京・豊洲、大阪の各市場にも搬送されたという。
(テレビ西日本)