小浜市で、福井県立大学の学生が地元に生息する魚などを展示する水族館をつくろうと動き出しました。目指すのは「学生と地域をつなぐ水族館」です。
「おばま水族館」の設立を進めるのは、福井県立大学海洋生物資源学部に通う真壁喜一さんです。大阪出身の真壁さんは、福井で大学生活を送る中で感じていたことがあります。
真壁喜一さん:
「県立大には魚好きの学生が多くいるのに小浜のことをあまり知らない、魚がとれる場所しか知らなかったり、小浜をあまり知らずに卒業していく。地域も県立大生のことをあまり知らない現状がある。学生の拠点を作るため、学校で学んだ知識や趣味を地域で表現する施設を作りたいと思い付いたのが、水族館だった」
水族館は、国の重要伝統的建造物群保存地区となっている小浜西組エリアにある空き家を活用して設置します。古い町並みが残り観光客も訪れる「三丁町」の一角にある空き家を、持ち主の協力を得て5月から改修工事を始めました。
真壁喜一さん:
「ここが入り口で、入ったところに円柱水槽を置きたいなと」
水族館の具体的な姿が想像できるようになってきたといいます。「1階が大小の円柱の水槽に魚を入れて展示、2階は水槽を置き寛いでもらえる空間に。魚の魅力を伝えるのに大切なのは水槽の大きさではない。いかに美しく見えるか、魚の小さな魅力を存分に表現できるようにしたい」
水族館といっても、ただ観光目的というのではなく、学生と地域とがつながりを持てる場所にするのが一番の狙いです。「学生が悩んでいること、地域が悩んでいることの両方がベストマッチして、お互いウィンウィンになるタイミングがあるといい。例えば地域は若い力がほしいし、学生は日々の生活の苦労などを地域が解消してくれることもある。大人と関わると自分の将来が見えてくるので、就職や起業、小浜に就職するかもしれないといったところに広がりを持たせて大学としてのブランド価値も上がっていくのでは」
改修には今年いっぱいかかる見込みで、オープンは2025年度中を目指しています。
真壁さんは「魚好きの学生が表現する、魚の魅力が伝わる水槽展示をしたい。自分の熱量をかけてプロジェクトを動かしている。完成したら、ぜひみなさんにきてほしい」と話します。
現在、水族館の準備資金を集めるためにクラウドファンディングを実施中で、目標金額は100万円だということです。