築40年以上の東京・板橋区のマンションで、家賃が約2.5倍の19万円に突然引き上げられ、住民の約4割が退去や退去を決意。マンションは、所有権が中国籍企業へ移った後、無届けで民泊利用していることも判明。家賃値上げなどで住民を退去させ、民泊に転用するケースが相次いでいるという。

家賃が突如約2.5倍に!?住民動揺

ある日、マンションの郵便受けに投函されていたという一枚の書面。それは、家賃値上げの通知書。旧賃料は月額7万2500円。新賃料は月額19万円。

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マンションの住民:
全ての部屋を19万円に賃料を値上げすると。元の値段の260%〜320%くらいの値上げ。

家賃が突如約2.5倍に。そして、この通知と前後してマンションに出入りするようになったという見知らぬ人の影。

マンションの住民:
民泊を運用していて、民泊サイトに物件の情報を載せているという…。

イット!に情報を寄せたのは、1K・築40年以上のマンションに、30年以上賃貸で暮らし続ける住人。場所は板橋区内のとある駅から徒歩3分以内という、交通の便利な場所にある。

周囲の不動産業者によると、1Kの間取りでは家賃10万円前後がこの辺りの相場とされる中、物件のオーナーにあたる「C社」は1月に19万円という新家賃を通告。

その理由について、「公共料金をはじめとする諸費用の増加のため」と記していた。

マンションの住民:
中には、全くこれはデマだという形で無視された方もいる。その後しばらく何もなかった。我々としては何がどうなってるんだろうと。

値上げ通告を受けてからの4カ月で、住民の約4割が退去、もしくは退去を決意。一方この住民は、周囲の後押しもあり、家賃の値上げを拒否する意思を内容証明郵便で管理会社側に送ったという。

しかし、半月あまり前、大きな異変があった。
7階建てのマンションのエレベーターが突如使えなくなり、再開日は不明と言われたという。

住民:
なんで急に壊れたと分かった?

C社スタッフ:
急に壊れる(わけ)じゃない。色々部品ね、全部古いでしょう?全体的に。だから交換は必要。

住民:
昨日までは使えてたんでしょ?

別の住民:
昨日まで使えてた、今朝使えてた。

C社スタッフ:
壊れてないけどまだ調べ中、まだ部品が…みんなの安全のため。

住民:
(修理や点検は)いつなの?

C社スタッフ:
いや、私も分からない。

エレベーター停止後も7階で暮らす、70代後半の住民はこう話す。

マンションの住民(70代後半):
エレベーターがとにかく動いてくれないと、毎日の生活に支障をきたして死活問題。

家賃値上げで住民を退去させ民泊に転用か

住民が出て行きたくなるような、突然の2.5倍値上げとエレベーター停止は、一体なぜ起きたのか。

実はこうした出来事が起こる直前、長年管理をしていたA社からB社に替わり、さらに別のC社へと、マンションの所有権が移されていたことが明らかになった。そのC社の責任者とされる人物の登録住所は中国と記載。

そして、このC社がマンションのオーナーになった時期と同じくして、住民ではないキャリーケースを持った外国人旅行者らしき人々が出入りをするようになったという。

住民から相談を受けた区側は、民泊としての実態があることを把握。しかし、民泊業者として必要な届け出がないことも分かった。

住民:
民泊やるなら届け出をして。

C社スタッフ:
多分これ手続きやってますでしょう。

住民:
してないよ。

C社スタッフ:
してない?え?

住民:
民泊はしてたら、入り口にサイン(住宅宿泊事業の届出書)を貼らないといけない。

C社スタッフ:
あ~してない?

中国人の不動産購入に詳しい専門家は、日本でマンションのオーナーになった企業が、家賃を値上げさせるなどして住民を退去させ、民泊へと転用を図るケースは大阪市などで目立っているという。

一方、今回のケースのような2.5倍もの家賃値上げの通告について、別の専門家は法的には問題がないとした上で、住民側の対抗手段としてこう話す。

橋下綜合法律事務所・松隈貴史弁護士:
一般的には裁判や調停を申し立て、最終的には裁判官が近隣の相場などを調べて、適切な金額を設定するという形になる。私の経験上になりますが、いきなり賃料が2倍以上になるものを裁判所が認めることは、基本的にあり得ない。

イット!は当該マンションの現オーナーであるC社に取材を申し込んでいるが「責任者は既に辞めた」などとの説明に終始している。

※FNNでは「オーナー交代によるマンショントラブル」を継続取材しています。情報提供してくださる方は、ぜひこちらまでご連絡ください。

(「イット!」6月2日放送より)

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