ブラインドサッカーの日本代表でもある平林太一さん。この春、早稲田大学に進学し、一人暮らしも始めました。夢の「世界一」へ向け、新たな挑戦の日々を送っています。
■ブラサカ日本代表 平林さん大学生に
小刻みなドリブルからの鋭いシュート。ブラインドサッカー日本代表で松本美須々ケ丘高校出身の平林太一さんです。
4月30日に都内で行われた代表チームの練習では、熱のこもったプレーを見せていました。
以前は、週末ごとに松本から電車で上京して練習に参加していましたが、この春から、大きく環境が変わりました。
スタッフ:
「きょうの練習どうでした?」
平林太一さん:
「2列目ってむずいっすね」
練習を終えて、スタッフの肩を借りながら帰途につく太一さん。
4月から大学生となり、埼玉県内で一人暮らしを始めました。夢の実現へ向け、新たな挑戦の日々を送っています。
■小1でブラサカに出会う
1歳の時に目の病気にかかり、4歳で全盲となった太一さん。小学1年生の時に出会ったブラインドサッカーにのめり込みました。
ぐんぐん実力を伸ばし、松本山雅B.F.Cではエースストライカーとして活躍。高校1年の時に初めて日本代表に選ばれると、2024年夏にはパリパラリンピック代表にも選出されました。
1勝もできず悔しい結果となりましたが、パラリンピック出場という大きな夢を叶えました。
大舞台から8カ月。家が近くなり、代表チームの練習も平日から参加できるようになりました。
平林太一さん:
「今までできていなかった時に練習できるのは大きい。コミュニケーションも多く取れるので、プレーだけじゃなくてそういうところも深まっていく」
■初めての一人暮らし「すごく楽しい」
平林太一さん:
「『クックパッド』で食材入力して、『これいいんじゃね?』と思えばそれを作る」
一人暮らしが始まり、自炊にも積極的に取り組んでいるそうです。
平林太一さん:
「一人暮らしがすごく楽しくて、めちゃくちゃ自由なんで。自分で自分のすべてを決められるというか、そういう生活は今のところは楽しい。本当に優しい人が多いなと思っています。迷ったりしていると話しかけてくれてみたいなことも多いので、けっこう助けられてやってます」
■「スポーツを学びたい」早大に入学
5月1日朝―。
太一さん:
「眠そうですか?」
カメラマン:
「ちょっと眠そう」
太一さん:
「朝はだいたいこんなもん」
大学には電車を乗り継いで通っています。
太一さんが進学したのは早稲田大学スポーツ科学部。スポーツについてもっと学びを深めたいとの思いからです。
太一さん:
「ブラインドサッカーというスポーツをやってきて、スポーツの力はすごく大きいものだなと感じてきているので、スポーツというものをもっと深く知って。スポーツマネジメントとかそっち側に少し興味がある」
この日は「スポーツ方法実習」の授業で、筋力トレーニングの実習です。
周りの学生のサポートを受けながら、正しい動作を学んでいきます。
サポートする学生:
「(安全には)気を付けて、楽しくコミュニケーションを取りながらできたらいい」
平林太一さん:
「ブラインドサッカーの競技にも良い影響を与える授業だったのかなと。こういう実習も含めてスポーツキャリアに生かしていければ」
■「ブラサカで世界一を取りたい」
競技に打ち込みながら、興味のある分野の勉学にも励む。大学生活の4年間は、自分が大きく成長できるチャンスだと捉えています。
平林太一さん:
「最後の学生生活というところで、スポーツ選手的にも人間的にもすごく成長できる機会。今までにないくらいいろんな人たちに囲まれて過ごせるので、いろんなところで成長できたらいい」
成長の先には、実現したい夢があります。
平林太一さん:
「(パリパラリンピックは)全く結果を残せずに終わってしまったという部分があるので、ここまで来たら結果を残したいとじゃなくて『残さないといけない』と思っている。ブラインドサッカーで世界一を取りたいと思っています」