「私たちは生身の人間なんですよ。極めて理不尽である」― 賃金未払いに怒りの声
「私たちは生身の人間なんですよ。極めて理不尽である」― 賃金未払いに怒りの声
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富山県富山市の仕出し弁当製造会社「ユニオン・ランチ」の自己破産により、従業員のなかには生活の危機に直面する人も出る事態となっています。4月に約5億7900万円の負債を抱えて破産申請した同社は、先月30日で全従業員を解雇。しかし、4月分の賃金の一部が未払いとなることが確定的だと従業員らに伝えられました。

高齢従業員を直撃する生活の危機

「賃金がまったく受け取れていないので日雇い労働している人もいます。そうしないと生きていけない、借金も返せない人がいるのです」

解雇通告を受けた従業員で作る労働組合「全国一般ランチユニオン」の伊藤厚志分会長はこう怒りを表明しました。伊藤分会長自身も73歳で、月収はわずか10万円ほど。蓄えは1〜2ヶ月分しかないといいます。

会社側からは「4月21日から30日分の賃金は未払いが確定的」で、5月分についても「支払われる人と支払われない人が出る見込み」との説明があったとのこと。先月の説明会では、破産管財人が「4月分は全額払える見込みが立っていない。5月分は全額払いたい」と回答したといいます。

未払い賃金の救済制度も遅れ

従業員の多くは国の「未払賃金立替払制度」を利用して、未払い分の8割を受け取る予定です。しかし、申請に必要な離職票がまだ会社から届いておらず、最初の給付は7月中旬になる見込みです。

「従業員が路頭に放り出されることがあって良いのでしょうか」と伊藤分会長。従業員の多くは高齢のパート従業員で、再就職も年齢を理由に断られるケースが出ています。

支援の動きは

レインボーユニオンの山崎武央代表も会見に同席し、従業員の窮状を訴えました。労働組合は今後も根気強く賃金の支払いを求めていくとしています。

4日午後からはユニオン・ランチの元従業員などを対象とした相談会が開催され、5日も対面と電話で相談に対応するとのことです。高齢者が多い従業員たちの生活を支える動きが始まっていますが、先行きは依然として不透明な状況が続いています。

■「くらし労働相談会」
県民会館606会議室 6月5日(木)12時~15時
090‐9853‐3681
080‐3142‐1325

富山テレビ
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