都内のマンションが、オーナーが外国人に代わったとたん家賃が2.5倍に跳ね上がることになったそうなんです。
一体なぜこのような事態になっているのか取材しました。
ある日、マンションの郵便受けに投函(とうかん)されていたという1枚の書面。
そこには、「家賃値上げの通知書 旧賃料:月額72,500円 新賃料:月額190,000円」と書かれていました。
マンションの住民:
全ての部屋を19万円に賃料を値上げすると。元の値段の260~320%くらいの値上げ。
家賃が突如約2.5倍に?
そして、この通知と前後してマンションに出入りするようになったという見知らぬ人の影。
マンションの住民:
民泊を運用していて、民泊サイトに物件の情報を載せているという…。
「イット!」に情報を寄せたのは、1K・築40年以上のマンションに30年以上賃貸で暮らし続ける住人。
場所は、板橋区内のとある駅から徒歩3分以内という交通の便利な場所にあります。
周囲の不動産業者によると、1Kの間取りでは家賃10万円前後がこの辺りの相場とされる中、物件のオーナーに当たるC社は、2025年1月に19万円という新家賃を通告。
その理由について、「公共料金をはじめとする諸費用の増加のため」と記していました。
マンションの住民:
中には、全くこれはデマだという形で無視された方もいる。その後、しばらく何もなかった。我々としては何がどうなってるんだろうと。
値上げ通告を受けてからの4カ月で住民の約4割が退去、もしくは退去を決意。
一方、この住民は周囲の後押しもあり、家賃の値上げを拒否する意思を内容証明郵便で管理会社側に送ったといいます。
しかし半月余り前、大きな異変が。
7階建てのマンションのエレベーターが突如使えなくなり、再開日は不明と言われたのです。
住民が提供した音声には、「なんで急に壊れたとわかった?」と問う住民に、C社スタッフは「急に壊れる(わけ)じゃない。いろいろ部品ね、全部古いでしょう?全体的に。だから交換は必要」と答えました。
「昨日まで使えてた。今朝使えてた」という住民に対しても、「壊れてないけどまだ調べ中。まだ部品が…。(修理・点検日は)私もわからない」などと話しました。
エレベーター停止後も7階で暮らす70代後半の住民は「エレベーターがとにかく動いてくれないと、毎日の生活に支障をきたして死活問題」と話します。
住民が出て行きたくなるような突然の2.5倍値上げとエレベーター停止は一体なぜ起きたのか。
実はこうした出来事が起こる直前、長年管理をしていたA社からB社に変わり、さらに別のC社へとマンションの所有権が移されていたことが明らかになりました。
そのC社の責任者とされる人物の登録住所は「中国」と記載。
そして、このC社がマンションのオーナーになった時期と同じくして、住民ではないキャリーケースを持った外国人旅行者らしき人々が出入りをするようになったというのです。
住民から相談を受けた区側は、民泊としての実態があることを把握。
しかし、民泊業者として必要な届け出がないことも分かったのです。
中国人の不動産購入に詳しい専門家は、日本でマンションのオーナーになった企業が家賃を値上げさせるなどして住民を退去させ、民泊へと転用を図るケースは大阪市などで目立っているといいます。
一方、今回のケースのような2.5倍もの家賃値上げの通告について、橋下綜合法律事務所の松隈貴史弁護士は「法的には問題がない」としたうえで、住民側の対抗手段として「一般的には裁判という形。調停という形を申し立て、最終的に裁判官が近隣と調べて適切な金額を設定するという形になる。私の経験上になりますが、いきなり賃料が2倍以上になるものを裁判所が認めることは基本的にあり得ない」と語りました。
「イット!」は当該マンションの現オーナーであるC社に取材を申し込んでいますが、「責任者はすでに辞めた」などの説明に終始しています。