小中学校の家庭訪問が減少している。UMKテレビ宮崎の調査では、宮崎市の市立小学校46校のうち、家庭訪問を行っているのはわずか3校だった。県教育委員会によると、こうした傾向は他の市町村でも見られ、最近では、家庭訪問を実施しない学校が多くを占めているという。教育現場の変化を取材した。
家庭訪問に替わる「個人面談」

家庭訪問の代わりに行われているのは、保護者が学校に来て行う個人面談だ。
担任:
社会科では自学(自主学習)で内容を調べてきてやっていたので、そういったところはよくできています。
保護者:
ちゃんと聞いているんですかね?
担任:
はい、発表もすごくします。
宮崎市の宮崎南小学校では、2024年度から家庭訪問の代わりに4月末から5月中旬にかけて、保護者との個人面談を行っている。
家庭訪問をやめた理由は?

宮崎南小学校 森康彦校長:
家庭訪問は、どうしても教員たちが各家庭を回る移動時間があったが、個人面談の方がたっぷり時間がとれて、ゆっくりと子供について話す時間が確保できるようになったことが最大のメリット。
宮崎南小学校の場合、教員は多い時には、半日で7つの家庭を訪問する必要があり、慌ただしさがあったと言う。一方、個人面談では10分間落ち着いて保護者と話すことができる。前任校で家庭訪問を経験したこちらの教員も…。

教員:
マップに住所を入れ込んで、どういう順路で行くかを確認する作業が大変。次の家庭にすぐ行くというプレッシャーもあった。個人面談の方が余裕がある。
また、取材した保護者からは、個人面談に対して好意的な意見が聞かれた。
保護者:
お掃除しなくてよかったり、お茶菓子を用意しなくてよかったり、手間が省けて楽になるのはうれしい。
保護者:
家庭で待っている緊張感がなくなり、先生方の負担もなくなったのですごくいい。
家庭訪問をしないデメリットも
準備や気持ちの面で保護者の負担も軽減される個人面談。一方、家庭訪問ならではの良さをカバーできないのではという声も…。
保護者:
家庭訪問の場合は、先生が家庭環境、生活空間などを見るいい機会になると思うので、その辺が狭まってしまうのは残念。
教員:
家庭を見ることで分かる子供たちの様子もあるので、子供たちとの関わり方を考えるという点では家庭訪問ならではの良さがある。

UMKテレビ宮崎の調査では、コロナ禍をきっかけに家庭訪問をやめたという小学校が多く、理由として、保護者の負担軽減や教員の働き方改革をあげていた。

そもそも家庭訪問の目的とは?
・学校側と保護者の対話
・緊急時に備えた児童生徒の自宅の位置の把握
・子供たちの生活環境の確認
県教育委員会によると、個人面談とは別に、教員が子供たちの自宅周辺を見回る学校や、個人面談と家庭訪問を選択できる学校もあるとのこと。共働き世帯や1人親世帯、外国人の世帯など、家庭環境が多様化している中で、オンライン面談を増やすなど柔軟に子供たちのための方法を模索していくことが重要だ。
(テレビ宮崎)