史上最速で横綱になった大の里は石川県津幡町出身。それまでの史上最速横綱は、輪島だが、その輪島は石川県七尾市出身。2人とも学生横綱出身という共通点が多い2人。そんな2人の共通点と相違点を探ると共に、強さの秘密とは。
黄金の左で一時代を築いた輪島と大の里の共通点とは

「黄金の左」を武器に大相撲の一時代を築いた第54代横綱・輪島。初土俵からわずか3年半、所要21場所で横綱に駆け上がり幕内優勝は14回にのぼる。そんな郷土の大スターについて大の里は「学生出身の横綱は輪島さん以来ということで、感じるものもすごいありますし、まだ雲の上の存在ですし、少しでもいろんな意味で近づけるように頑張りたいなと思います。」と話していた。
輪島の元付き人が見る大の里との共通点
石川県金沢市でちゃんこ鍋店を営む元十両の志岐和久さん。輪島さんの付け人を務め、当時、腰が軽くなるからと、稽古ではタブーだったランニングでともに汗を流した仲だ。
志岐さんは、「輪島さんは基礎運動でしたね。僕が見ている間は四股・四股・四股でした。」と、当時のことを振り返る。何よりも基礎となる稽古を大事にしていたというのだ。

一方、大の里について二所ノ関親方は、私たちの取材に対し、「つまらないような稽古を一番大の里がやっているんで、やっぱり稽古は嘘つかないというのがはっきりでたかと思いますね。」と語る。輪島との共通点がここにあった。
志岐さんはこうした努力に加え「生まれ持った才能」も感じていた。志岐さんは、「足腰の良さ、相撲の勘というのがですね、2人ともですね全然違う持ってるものがあるという感じですよね。それを磨き上げてきているという感じ。記録は抜いていくものだと思います。これはこれでいいんじゃないかなと思います。特に石川県出身ですからね。」と目を細めた。
『われわれがスピードに追いつけない』横野レイコさんが見る大の里

さらに相撲ジャーナリストの横野レイコさんは大の里の偉業について、「輪島関の21場所というのが、多分もう破られることはないだろうと思うぐらいすごいスピード昇進だったんです。我々がそのスピードを理解するのに追いついていないぐらいの速さです。器用さが半端ないというか恵まれた体格なのに走るのも速いし小兵のようなスピード感もある。それであの馬力がある。とてつもない記録を作っていくんじゃないかと思っています。」と驚く。
輪島も大の里も知る名アナウンサーが語る2人
輪島さんの葬儀で弔辞を読んだ元NHKアナウンサーの杉山邦博さんも、輪島と大の里の違いを「輪島は左四つ、大の里は右四つ。体も違うし、取り口も違うけれども、これは石川県を代表するどころか全国をリードしていくだけの横綱になれるんだから、石川県の方は久しぶりに楽しいでしょう。」と指摘する。

その上で杉山さんは「今までの歴代の横綱の中であんなにバランスの整った横綱いませんよ。70年土俵を見続けてきましたが、大の里と比較してという横綱は浮かんでこない。それほど大の里は唯一無二なんですよ。」と絶賛していた。
石川が生んだ大横綱・輪島。その輪島を追い越して史上最速で横綱になった大の里。輪島に並ぶ大横綱となるために、大の里がその道を歩み始めた。
(石川テレビ)