5月20日~23日、3泊4日の教育旅行で、東京の中学生が山形を訪れさまざまな体験をした。そのうち米沢市では、歴史を深く知るために戦国時代の“合戦”を体験するユニークな企画に挑戦した。

楽しみながら歴史を学ぶ“合戦”体験
東京にある筑波大学附属駒場中学校の3年生が、「地域研究旅行」として3泊4日の日程で山形を訪れ、農業体験や企業訪問を通して山形の風土と産業を学んだ。

最終日の5月23日、米沢市で上杉神社を見学した後、戦国最大の死闘と呼ばれる「川中島合戦」を体験した。

伝国の杜前で生徒たち自らが“合戦”を体験したこのプログラムは、県観光物産協会などでつくる「教育旅行誘致協議会」が、県外の学生に山形の魅力を肌で感じてほしいと企画した「教育旅行・体験型プログラム」のひとつ。

企画・運営に携わった山形県観光物産協会 観光事業課・渡部幸一主事は、「楽しみながら歴史を学ぶために、どういう体験をすればいいのか・子どもたちの思い出に残るのかを考えた」と話す。

プロに指導を受けながら役者・カメラマン体験も
上杉軍と武田軍、両軍の名だたる武将たちを演じるのは生徒たち、そして業務用カメラを使って撮影するのも生徒たち自身だ。
教育旅行の記録映像を自分たちで撮影することで、より思い出深いものにしてほしいとのねらいがある。

役者組には、日ごろから山形の観光PRを担う戦国武将隊「やまがた愛の武将隊」が演技を指導。
撮影組には、ケーブルテレビ局(米沢市)と映像制作会社(南陽市)のプロが指導し、武将たちの出陣の様子など1シーンずつ撮影を重ねた。

武田伝令:
申し上げます。上杉軍がすぐそこまで迫っております!
武田武将:
なにぃ? 気づかれておったか…仕方ない。みな本陣へ急ぎ軍を集結させよ。別動隊が戻ってくるまで時間を稼ぐのだ。お館さま、急ぎ御沙汰を。

武将になりきって迫真の演技をする役者組と、その表情や動きをどうとらえるか考えながら撮影する撮影組。
どちらも普段の生活ではなかなか体験できないだけに、生徒たちにとっては貴重な時間となったようだった。

生徒が撮影した映像をプロが編集し作品に
上杉謙信役を演じた生徒は、「自分で演じることができて、上杉謙信とつながったような気持ちになれた」と話していた。

また、撮影組としてカメラマンを担当した生徒は、「腕がちぎれるほどカメラが重かった。多少ブレとかはあると思うけどうまく撮れた。みなさんの表情一つひとつをよく見て完成した映像を楽しみたい」と話していた。

山形県観光物産協会 観光事業課・渡部幸一主事は、「中学生・高校生が山形に来て、家族の中で山形の魅力を共有してもらうことで、リピーターも確保できるだろうという目的で教育旅行を誘致している。今回の経験を外に発信しながら、新たな学校に来てもらえるように取り組んでいきたい」と話していた。

教育旅行の締めくくりとなった特別な体験の映像は、映像制作会社が編集した上で学校に届けられる。
最後は全員で、戦国時代の武家作法・鬨の声(ときのこえ)「エイエイオー!」で教育旅行の体験を〆た。

(さくらんぼテレビ)