無数の黒い粒が海中に広がる不思議な光景。これが北の海からやってきた珍しい生き物だとしたら?鹿児島県長島町の港に、「流氷の妖精」クリオネの仲間が大量に漂着し、地元で話題となっている。
黒い粒の正体…はるか遠い北の海からの来訪客だった
5月26日朝、鹿児島県長島町の蔵之元港。海中には無数の黒い粒のような物体が広がっていた。長島観光グラスボートの代表を務める岩崎明さんは、乗客が下船した後にこの珍しい光景を発見。「この辺、全体にいたんですよ。もうざわざわして、みんな一生懸命、天使の羽を動かしていました」と興奮した様子で語った。

世界中の海に分布する神秘的な生き物
かごしま水族館(鹿児島市)の西田和記さんによると、この黒い粒の正体は「クリイロカメガイ」と呼ばれる生き物。オホーツク海など北の海に生息する「流氷の妖精」とも呼ばれるクリオネの仲間。体長はわずか1センチほどだが、その存在感は港全体に広がっていた。
クリイロカメガイは世界中の海に広く分布してり、通常は沖合で見られるこの生き物だが、風や波に流されることで今回のように沿岸部に大量に漂着することもあるそうだ。

地元住民も初めて見る光景に驚きの声を上げていた。「3ついない?並んでいるねぇ」
「あっ本当だ」「初めて見ました、すごくちっちゃくて分かりづらいですけど」と、小さな珍しい生き物に熱心に見入る姿が見られた。

数年ぶりの来訪に地元も歓迎ムード

岩崎さんによると、長島町では過去にもクリイロカメガイが漂着したことがあり、今回は数年ぶりの確認となる。「何回かしか会ったことないので、多くの人に見てもらいたい。こんな風に長島の海を選んで来てくれるのは、それなりの理由があってのことかなと思って、大歓迎ですね」と、岩崎さんは笑顔で話してくれた。
(鹿児島テレビ)