人口減少が影を落とす日本で、今も人口が増え続けている福岡市。その背景には、2014年に国家戦略特区になって以降の規制緩和による大規模な再開発「天神ビッグバン」と、それに続く「博多コネクティッド」がある。それぞれの再開発が進む中、今、福岡都心部には、高級スーパーが次々と進出し、食を巡る商戦が本格化している。

2025年4月24日にオープンした「ワン・フクオカ・ビルディング」。九州初出店や新業態など、話題のショップやレストランなど約130店舗が入る大型複合ビルだ。

ワン・フクオカ・ビルディング(福岡市天神)
ワン・フクオカ・ビルディング(福岡市天神)
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中でも、地下2階にある『ビオララ』は連日、大勢の客が訪れる、今、最も話題のスーパーだ。「品揃えは、初めて見る物ばかり。珍しい物が沢山ある」と買い物客は、口を揃える。

「ビオララ」健康意識高い客に人気

ビオララは、イオン九州が展開する新業態の店舗で、「自然の恵みや健康的な暮らしを支える商品を取り扱ったスーパー」とスタッフの濱武由記さんは魅力を語る。

販売されているのは、産地や素材にこだわったオーガニックな食品や生活雑貨。

「こんなに種類が沢山揃っているスーパーはあまりない」と客の反応は上々だ。味噌や麹、大豆ミート、天然酵母を使用した低温長時間発酵のパンなど、健康志向の高い消費者の心を鷲掴みにする商品が、所狭しと並んでいる。

全国のいろいろな味噌が並んだコーナーや、全てグルテンフリーの商品を集めたコーナーなど、テーマごとの商品数が充実している。

発酵デリカッセンと“量り売り”

「発酵デリカテッセン」と書かれたコーナーは、特に人気。発酵をテーマに麹や味噌などを使った身体に良くて美味しい総菜を販売している。

『塩糀チキンのロースト』は、開業1カ月で700食以上売れた人気商品。「柔らかくチキンの旨味がしっかりしている」とリピーターも多い。

そんなビオララで、開業以来、売上げトップの商品が、『米粉入りあんぱん』だ。天然酵母を使い、長時間かけて発酵させるパン生地に、北海道産の小豆を使った粒餡を合わせた和菓子のような逸品。

絶妙な甘さが癖になる大ヒット商品で、「オープンからの1か月で、7600個売れています」と店舗スタッフの濱武さんは、胸を張る。

商品以外にも話題のサービスがある。ビオララの特徴の1つが“量り売り”。

「量り売り」商品多い
「量り売り」商品多い

ナッツやチョコレート、ドライフルーツも量り売りで、自分の好きな物を、欲しい量だけ買うことができる。食品だけでなく、植物由来の成分を使用した洗剤など、健康や環境に配慮した商品も数多く並んでいる。

「成城石井」も福岡進出へ

最近、福岡の中心部には、ハイクオリティなスーパーが続々と進出中だ。

岩田屋本店B1「紀伊国屋」(資料)
岩田屋本店B1「紀伊国屋」(資料)

2023年に岩田屋本店の地下1階に「紀ノ国屋」が、2024年の11月には、博多マルイの1階にボンラパスの新業態店「ボンラパスタンブル」がオープンした。どちらも国内外から厳選した食材などを扱うプレミアムなスーパーだ。

更に、今後は、高品質な食料品で全国に多くのファンを持つ「成城石井」が、経済成長を見込める有望な市場として、福岡に進出することが分かっている。実現すれば、九州初となる。

「成城石井」(資料)実現すれば、九州初となる。実現すれば、九州初となる。
「成城石井」(資料)

成城石井は、1927年に高級住宅街として知られる東京都世田谷区成城で創業。国内外の高品質な食材を取り扱う高級スーパー。物価高の中、激安スーパーや業務用スーパーが人気だが、高級スーパーの成城石井は、直近の10年間で営業利益が4倍と業績を伸ばし続けている。

「成城石井」(資料)
「成城石井」(資料)

天神ビッグバンなど、巨大再開発事業が進む中、国内外から多くの人々が集まり、様々な業態のビジネスが福岡に進出する中、食にまつわる新たなビジネスや選択肢も急速に広がりをみせている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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