5月24日から高校生のスポーツの祭典・県体が行われています。
2025年で78回目となる高知県高等学校体育大会「県体」には30の競技に県内44校から約4800人が出場。四国大会やインターハイの予選も兼ねていて、高校生たちが白熱した戦いを繰り広げています。
25日には陸上界で躍進を続ける岡林姉妹の初の直接対決が実現。試合で優勝を争うライバル同士の高校生活を取材しました。
5月19日、チャイムと同時に作業服姿で飛び出してきた女子生徒たちの中に、高校1年になった“俊足少女”岡林結衣さんがいました。
高知農業高校1年・岡林結衣さん
「トマトのとこ行ってます」
この日は学校のハウスでトマト栽培の実習です。
結衣さん
「農業(高校)のトマトメッチャおいしいんですよ。甘くておいしいです。”プチ”みたいな」
高校入学から約2カ月、学校生活には慣れたといいます。勉強と部活(陸上部)のウエートの割合は「7対4ぐらいです。いや6対4です」と話します。
結衣さんは小学校6年で当時の100メートル小学生女子の日本記録を塗り替え、全国中学校体育大会では中1の時には200メートルで、中2では100メートルでそれぞれ優勝しました。
高知農業高校に進学したのは陸上部の小松隆志監督に指導を仰ぐため。さらに陸上部に姉・沙季さんが在籍していることも進学の決め手となりました。
沙季さんは2024年に出場した国体の少年女子A100メートルで5位に入賞した陸上界のホープ。ちなみに100メートルの自己ベストは結衣さんが11秒72、沙季さんが11秒65と、沙季さんがわずかに上回っています。
姉の沙季さんは今年1月のインタビューで、妹について「大好きな妹であり大っ嫌いなライバルです」と話していました。
部活の練習では前後を走りお互いのコンディションや走っている時のフォームをチェックし合っています。しかし休憩になると一変…
結衣「さっちゃん犬の鳴きまね得意なんですよ」
沙季「得意じゃないし、うるさい」
結衣「ペットショップで犬引き寄ってくる」
沙季「引き寄ってこん!うるさいなー」
姉妹は部内のムードメーカーでもあります。
陸上部の3年生は「一番オーラもあるんで練習中も。見てて一緒に取り込まれて頑張れるようになりますね」と話します。
結衣さんは先輩にもかわいがられているようで…
2年生「(すべてが)完璧なんですよ。あ、勉強と恋愛、頑張って」
この日は県体の5日前。小松監督は県体だけではなく、その先のインターハイでの活躍まで期待していました。
小松監督
「(インターハイの)決勝に2人で残ってもらいたいな。2人をスタンドから自分が見たいなっていうのが」
県体で直接対決の可能性があることについて、岡林結衣さんは「自分の今出せる最大限の力を出し尽くしてお姉ちゃんに頑張って勝てるようにベストを尽くしたいと思います」と語っていました。
姉の沙季さんは「高校3年間の集大成なので結衣に一勝でも多く勝てるように頑張りたいです」と話していました。
5月25日、春野陸上競技場100メートル決勝の舞台に2人の姿がありました。6レーンが姉の沙季さん。隣の7レーンが妹の結衣さんです。
レースは、スタートダッシュで抜け出した姉の沙季さんが11秒92で勝利しました。妹・結衣さんの猛追を振り切り、その差はわずか0.03秒でした。
Q気持ちはほっとしている?
姉・沙季さん「はい、ほっとしてます。限られたアップの中で後半を修正して結衣に勝てたので良かったです」
一方、結衣さんは悔し涙を流していました。
姉・沙季さん
「やっぱり嫌ですね、負けたら私も(結衣と)同じ立場だったと思うし、勝っても本気で喜べないというか。でもすごい楽しかった」
結衣さんは「スタートの部分で置いて行かれたので24時間スタブロ耐久(スタートの特訓)したいと思います。さっちゃんには負けちゃったんですけど、課題が見つかるレースで良かったです。四国(大会)やり返しますよ」と話していました。
姉・沙季さん
「勝ったんですけど結衣のおかげの勝ちだなと。一緒に戦ってくれてありがとうって言いたいです」
妹・結衣さん
「お姉ちゃんがいなかったら私もここまで速くなかったと思うし、ずっと努力を見ていたから私もこうやって頑張っているので、姉には感謝を伝えたいです。大好きだよ」
岡林姉妹が出場した24日の400メートルリレー予選では県の高校新記録を更新。優勝に大きく貢献しました。
26日の200メートル決勝は姉の沙季さんが制しました。結衣さんは0.59秒差で2位でした。またも姉妹で1・2フィニッシュを飾りました。
次の四国大会も切磋琢磨して活躍を見せてほしいですね。