5月20日、大阪府警は大阪ミナミの「メンズコンセプトカフェ」の経営者らを逮捕した。

背景にあるのは「気軽」なイメージとは逆の、悪質な店舗の急増。今、起きている夜の街の異変に迫った。

風俗営業の許可なく従業員に接待行為させた疑いでメンコン経営者ら逮捕
風俗営業の許可なく従業員に接待行為させた疑いでメンコン経営者ら逮捕
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記者リポート (大阪市中央区 5月20日):大阪府警の捜査員が、メンズコンカフェの中から段ボールを持って出てきました。

20日、警察が捜索に入った大阪・ミナミのメンズコンセプトカフェ、いわゆる「メンコン」。

この店舗を含め、合わせて5店舗を経営する大田正人容疑者(41)ら9人は、風俗営業の許可を取らずに、従業員に客へ長時間“接待行為”をさせていた疑いで逮捕された。

大田容疑者は容疑を否認しているということだ。

風俗営業の許可なく従業員に接待行為させた疑いでメンコン経営者ら逮捕
風俗営業の許可なく従業員に接待行為させた疑いでメンコン経営者ら逮捕

■「悪い印象がついてしまった業界」“執事喫茶”店長が異変語る

そもそも「メンコン」とはどのようなものなのか。摘発された店の近くで取材すると…。

「執事喫茶シスメアパルス」店員:おかえりなさいませ。

正装の男性が温かく迎えてくれた。こちらは「執事」がコンセプトのメンコン。メンコンは、特定の世界観をテーマに接客をする飲食店で、ホストクラブのような隣に座って会話する「接待」などは、風営法の許可がないとできない。

「執事喫茶シスメアパルス」さこ店長
「執事喫茶シスメアパルス」さこ店長

「執事喫茶シスメアパルス」さこ店長:お話を少しする程度。プライベートの連絡は一切とらない。必要以上に距離間つめない。

基本的には通常の飲食店と変わらないはずのメンコン。しかし、店長は業界に起こる異変を指摘する。

「執事喫茶シスメアパルス」さこ店長:ボーイズバー、ホストクラブに近しい業態のお店が増えてきたんじゃないのかと思う。『メンズコンカフェ』と当館は売り出さなくなりました。悪い印象がついてしまった業界なので。

「執事喫茶シスメアパルス」さこ店長
「執事喫茶シスメアパルス」さこ店長

■「お金無いと言ったら、灰皿で殴られて頭割れた」メンコン巡るトラブル

近年、ホストクラブを巡っては、つけ払いなどの金銭トラブルの増加を背景に、警察などが警戒を強化。そこで今、メンコンを“隠れみの”に、「メンコンのホスト化」が夜の街で広がっているのだ。

今回摘発された店舗のメニュー表を見ると、“165万円のドリンク”が載っています。通常の飲食店では有り得ない価格。

一体、メンコンで何が起きているのか。実態を探ろうと取材を進めると…。

知人が金銭トラブルに遭った女性:『お金無い』と言ったら、灰皿で殴られて、頭割れてる子がいて。その子はメンコンが好きすぎて、結局被害届け出せなくて…。

自身が金銭トラブルに遭った女性:『カバン持っとくね。別のところに置いておくね。とりあえず飲もう』と言われて、お酒をめっちゃ飲んで。『財布返して』と言ったら、財布の中身空っぽ。『お前酔ってるから覚えてないんや。自分で払ってた』と言われた。

メンコンを巡るトラブルの証言が次々と聞かれた。

ホストクラブやメンコンに行ったことがある女性:(自主規制などで)“売り掛け”も“色恋”も禁止になったじゃないですか、ホストって。でもメンコンは当たり前にある。売り掛けもまじであるし。メンコンの方が治安は悪くなってきているかな。

「メンコンの方が治安は悪くなってきているかな」
「メンコンの方が治安は悪くなってきているかな」

■「ホストクラブ以外のところに流れていく」と専門家

いたちごっこの様相を呈している実情。

20日、衆議院本会議では、風営法の改正法案が可決・成立し、ホストクラブなどに対する警戒は強まっている。

こういった実情に、歌舞伎町やミナミなどを研究する都市社会学の専門家は…。

立命館大学産業社会学部 武岡暢准教授:コンカフェやメンコンは響きが柔らかかったり、キャバクラやホストクラブと比べるとオブラートに包んであるので、働く人を集めやすい。

立命館大学産業社会学部 武岡暢准教授:ホストクラブの営業に対する規制が変化することによって、一部分はホストクラブ以外のところに流れていくのではないか。

「ホストクラブ以外のところに流れていくのではないか」と専門家
「ホストクラブ以外のところに流れていくのではないか」と専門家

気軽なイメージを背景に広がる「メンコンのホスト化」。夜の街で繰り返される被害をどう食い止めれば良いのか。

被害をどう食い止める
被害をどう食い止める

■規制を加えると業者はサービスの形を変えるのを繰り返す

メンズコンカフェを名乗って、実態はホストクラブという店もあるようだ。

菊地弁護士は規制を加えることで、サービスの形が変わり、新たな問題が起きていると指摘する。

菊地幸夫弁護士:風俗営業法が改正になったということですけれども、風俗営業っていうのは昔から規制を加えると、業者の方は形を変えた新しいサービスを。それに規制を加えると、また別の新しいサービスを。これを繰り返してきて、今ホストの問題が、また新たな形で起きているっていうことです。どうするのかがこれからの課題ですね。

菊地幸夫弁護士
菊地幸夫弁護士

■メンズコンカフェでは未成年もトラブルに巻き込まれることも

お酒を提供しないメンズコンカフェは、未成年もトラブルに巻き込まれることがあるということだ。

関西テレビ 神崎博報道デスク:ホストクラブは、客の入場制限があって、18歳以上じゃないとダメだったんですけど、規制を厳しくしたあまり業態がある種、コンカフェに移ってしまった。コンカフェはカフェなので、未成年の人でも入れちゃうところがあるんですね。(ホストクラブと)同じような被害が出る恐れがあり、しかも未成年が犠牲になる可能性もあるので、そこに対して何らかの法改正や取り締まりは必要になってくるんじゃないかと思います。

ルールにのっとった店もある一方で、悪質なメンズコンセプトカフェをどう取り締まっていくのかが注目される。

関西テレビ 神崎博報道デスク
関西テレビ 神崎博報道デスク

(関西テレビ「newsランナー」2025年5月22日放送)

関西テレビ
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