鹿児島の観光業界に朗報が届いた。旅行情報誌「じゃらん」の2024年調査で、鹿児島が観光地満足度ランキングで堂々の全国1位に選ばれたのだ。恵まれた観光資源の活用で栄冠に輝いた一方、今後の課題も浮き彫りとなった。
食と温泉、そしてシニアの力
2025年5月13日、鹿児島市で開かれたセミナーで、観光地満足度ランキングが発表された。国内旅行に関する調査を行う「じゃらんリサーチセンター」が、2023年度に旅行した約1万5000人に実施した国内宿泊旅行調査で、鹿児島が食べ物や宿泊施設など、テーマ別の満足度を総合して1位に輝いた。

じゃらんリサーチセンター主席研究員の森戸香奈子さんは、鹿児島の強みについて「食が強い。鹿児島の黒豚とか鶏肉とか」と語る。旅行の3大人気コンテンツである「食」「宿」「温泉」。鹿児島はこれら3つの観光資源が豊富で、過去のランキングでも上位に入っていた。
コロナ後のシニア層獲得が鍵
では、なぜ今回鹿児島が1位になったのか。その理由は意外なところにあった。
森戸さんは「コロナの間に旅行を控えていた『シニア層』をうまく獲得できたから」と分析する。温泉などシニアからの需要が高い鹿児島。コロナが5類に移行したことによる観光業界の変化が、この結果に大きく影響したようだ。
さらに、消費額の面でも鹿児島は優位性を示している。森戸さんによると「消費額でいうと、鹿児島は7万円を平均で超えているくらい。全国平均だと6万円くらいなので高い方に入る」という。

リピーター獲得が次なる課題
しかし、データから浮かび上がった課題もある。友人や知人に鹿児島をおすすめしたいかというランキングでは、鹿児島は9位に後退する。その理由として、観光地としての資源を生かしきれていないことや、リピーター率の低さが指摘されている。

森戸さんは今後の展望について「何度も通ってカルチャーに触れたり、ハマる食があったり、ファンづくりを進められると面白いのでは」と提案する。
鹿児島観光の未来像
観光満足度で全国1位となった鹿児島。しかし、これで満足するわけにはいかない。次に目指すのは「リピーターが訪れ、おすすめされる観光地になること」だ。

鹿児島の豊かな食文化や温泉資源を活かしつつ、地域のカルチャーや魅力をより深く体験できる仕組みづくりが求められる。また、シニア層だけでなく、若い世代にも魅力を感じてもらえるような取り組みも重要だ。SNSを活用した情報発信や、体験型観光の充実など、多様な年齢層に対応した戦略が必要となる。
鹿児島の観光業界が、この栄誉ある1位の座を維持し、さらなる発展を遂げられるか。地域全体で知恵を絞り、魅力的な観光地づくりに取り組む姿勢が、今後の鹿児島観光の鍵を握っている。
(鹿児島テレビ)