畳24畳分もの大きな凧が空を舞う新潟市の白根大凧合戦。300年続く伝統行事だが、物価高騰が続く今、存続の危機にあるという。地域の大切な伝統の継続へ関係者は支援を呼びかけている。
江戸時代から300年続く“白根大凧合戦”
地域を流れる中之口川を舞台に全長約7mの巨大な凧が空を舞う白根大凧合戦。

江戸時代から300年続く伝統行事で、各町内が東西に分かれ、凧を空中で絡ませて綱が切れるまで引き合う様子は地域を活気に包む。
白根凧合戦協会の阿部隆一事務局長は「ほかの凧合戦・凧文化と違って、町内でやっていることに素晴らしさがある。これを商売にしているのではなくて、町内の人が分担してやっているというのが、この凧合戦の特徴。凧の組み方、花輪の立て方、それぞれ工夫している。それが町内の特徴になって凧のおもしろさが出てくる」と話す。
白根大凧合戦は毎年、各町内がそれぞれ手作りした凧を戦わせることが特徴で、それが盛り上がりの一つの理由だと話す。
物価高騰も影響…凧合戦の存続危ぶまれる
その一方で、「非常に今、台所事情は苦しい」と本音をこぼした。

和紙や竹、綱といった材料費に人件費などを加え、町ごとに200万~300万円かかるという凧の製作費。それが今の物価高騰で以前と比べ2割ほど増している。
一方、人口減少により原資として集まる町内会費は年々減っているのが実情だ。
県や市の補助金を受けるものの行事の運営費もかさむ中、このままでは赤字が膨らみ、行事自体の存続が危ぶまれるというのだ。
「地域の大切な財産」伝統守るため支援呼びかけ
こうした中、白根大凧合戦の実行委員会は4月、支援を求めクラウドファンディングを開始。会場設営費や凧の製作費などに活用するため、50万円を目標に寄付を呼びかけている。

阿部さんは「皆さんに協力をいただいて、300年の伝統を絶やさないようにつなげていきたい」と意気込む。
凧合戦を後世に…地域にとって何としても残さなくてはならない伝統だと阿部さんは強調する。
「どんな冷静な人も凧の話をすると変わる。熱くなる。そういうところが好き。その一体感を凧がつなげてくれている。大切なうちらの財産」
(NST新潟総合テレビ)