日本赤十字社の名誉総裁を務められる皇后・雅子さまは、5月13日、「全国赤十字大会」にご出席。日本赤十字社の「名誉総裁」の役職は歴代の皇后に引き継がれているが、平成最後の「全国赤十字大会」では、美智子さまは退場の際、雅子さまに手を差し伸べ、次の名誉総裁をお披露目するかように会場に向かってお二人で会釈された。その時の様子を報じた平成30(2018)年5月放送の「皇室ご一家」(第1954回 春の叙勲)を振り返る。

なお、本記事は当時のナレーションをそのまま記載。上皇さまを「天皇陛下」、上皇后さまを「皇后さま」、現在の皇后さまは「皇太子妃雅子さま」と記載する。

天皇陛下 「大綬章勲章親授式」へ

天皇陛下は、5月8日、皇居・宮殿で行われた春の叙勲の大綬章親授式に臨まれました。

平成30(2018)年5月 大綬章親授式(皇居・宮殿)
平成30(2018)年5月 大綬章親授式(皇居・宮殿)
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親授式では、大綬章を受け出席した、26人ひとりひとりに陛下から勲章が手渡されました。
今回、最高位となる旭日大綬章を受章したのは、長年、電気事業の発展に携わった九州電力元会長の鎌田迪貞さん。

旭日大綬章を受章した 九州電力・鎌田迪貞元会長
旭日大綬章を受章した 九州電力・鎌田迪貞元会長

半世紀にわたり国内外の赤十字事業に取り組んだ日本赤十字社社長の近衞忠煇さんなど16人です。

旭日大綬章を受章した 日本赤十字社・近衞忠煇社長
旭日大綬章を受章した 日本赤十字社・近衞忠煇社長

親授式の後、受章者を代表して鎌田さんが「それぞれの分野において、一層精進を重ねる決意でございます」と挨拶。陛下は「長年それぞれの務めに精励(せいれい)し、国と社会のために、また、人々のために尽くされてきたことを、深く感謝しております」とねぎらいの言葉を述べられました。

受章者にお祝いの言葉を述べられる天皇陛下
受章者にお祝いの言葉を述べられる天皇陛下

午後には、大綬章に次ぐ重光章の伝達式も行われ、陛下は受章者を祝福されました。

天皇皇后両陛下 「生誕150年 横山大観展」へ

天皇皇后両陛下は、5月13日、東京・千代田区の美術館で「横山大観展」を鑑賞されました。

「横山大観展」を鑑賞された天皇皇后両陛下(東京国立近代美術館)
「横山大観展」を鑑賞された天皇皇后両陛下(東京国立近代美術館)

近代日本画の巨匠として知られ、今年、生誕150年を迎えた横山大観。

「白衣観音」横山大観
「白衣観音」横山大観

輪郭線を使わず、ぼかすことで光や空気を描く技法「朦朧体(もうろうたい)」を確立したことで知られています。

ナイヤガラの滝と万里の長城を描いた作品「瀑布(ばくふ)」をご覧になった両陛下。

ナイヤガラの滝と万里の長城を描いた作品「瀑布(ばくふ)」
ナイヤガラの滝と万里の長城を描いた作品「瀑布(ばくふ)」
ナイヤガラの滝と万里の長城を描いた作品「瀑布(ばくふ)」
ナイヤガラの滝と万里の長城を描いた作品「瀑布(ばくふ)」

陛下は「あの辺の岩みたいなのは朦朧体ですね」皇后さまは「ぼかしていますね」と大観の作風に感心していらっしゃいました。

皇后さま ご養蚕の作業「山つけ」を始められる

皇后さまは、今年も養蚕作業を始められました。

野蚕室で「山つけ」をされる皇后さま
野蚕室で「山つけ」をされる皇后さま

5月2日、皇居内の野蚕室(やさんしつ)で行われたのは、クヌギの枝に野生種の蚕の卵をつける「山つけ」という作業。

皇后さまは「高いところにいたしましょう」と話し、卵を貼り付けた和紙を丁寧につけられました。

明治4年以降、歴代の皇后により行われている皇居内の「ご養蚕」。
来年5月の皇太子さまご即位後、皇太子妃雅子さまが引き継がれることになりました。

昭和45(1970)年6月 ご給桑作業をおこなう香淳皇后
昭和45(1970)年6月 ご給桑作業をおこなう香淳皇后

雅子さまは5月13日、皇太子さま、長女・愛子さまと皇居を訪れ、両陛下と共に養蚕施設「紅葉山御養蚕所」を見学されました。

皇居・紅葉山御養蚕所に向かわれる皇太子ご一家
皇居・紅葉山御養蚕所に向かわれる皇太子ご一家

養蚕の作業や施設について、ひとつひとつ丁寧に説明をされた皇后さま。
病気療養中の雅子さまに対し「精神的な負担とならないよう、可能な範囲でなされば」と気遣われているということです。

平成29(2017)年5月 ご給桑をされる皇后・美智子さま
平成29(2017)年5月 ご給桑をされる皇后・美智子さま

来年は即位の儀式などが重なることから、雅子さまが本格的に養蚕作業を行われるのは、再来年になる見通しです。

皇后さま 平成最後の全国赤十字大会へ

皇后さまは5月16日、東京・渋谷区で開かれた全国赤十字大会に出席されました。皇后さまは主催する日本赤十字社の名誉総裁を務められています。

「全国赤十字大会」に出席された 名誉総裁の皇后さま 名誉副総裁の雅子さま・紀子さま・信子さま・久子さま
「全国赤十字大会」に出席された 名誉総裁の皇后さま 名誉副総裁の雅子さま・紀子さま・信子さま・久子さま

この日は、名誉副総裁の皇太子妃雅子さま、秋篠宮妃紀子さま、寬仁親王妃信子さま、高円宮妃久子さまもご出席。雅子さまが出席されるのは、15年ぶりです。

この大会は、災害救助活動など赤十字事業に携わる人々をねぎらい、その活動をさらに広めるために毎年開かれているものです。

皇太子妃時代から赤十字活動に心を寄せ、視察や作業への参加を重ねてこられた皇后さま。
平成元年からは名誉総裁としてこの大会に携わってこられました。

平成元(1989)年5月 全国赤十字大会
平成元(1989)年5月 全国赤十字大会

《平成元年 全国赤十字大会での皇后さまおことば》
「平成初めての大会に当たり、昭和22年以来、42年の長い年月にわたって名誉総裁の責務をお果たしになった皇太后陛下に、私どもの深い感謝をお捧げしたいと思います」

名誉総裁としておことばを述べられる皇后さま
名誉総裁としておことばを述べられる皇后さま

来年4月の陛下ご退位に伴い、今回が最後の大会となられる皇后さま。式典では、医療やボランティアなど赤十字活動に貢献した個人や団体に贈られる「有功章」のメダルや賞状、楯を手渡されました。

有功章を授けられる皇后さま
有功章を授けられる皇后さま

最後に、雅子さまに手を差し伸べられた皇后さま。

ご退場の際 並んで会釈された皇后さまと雅子さま(写真提供:日本赤十字社)
ご退場の際 並んで会釈された皇后さまと雅子さま(写真提供:日本赤十字社)

次期名誉総裁となられる予定の雅子さまを出席者に紹介するように笑顔で会釈し、会場を後にされました。

秋篠宮ご夫妻 新宿区立西新宿子ども園へ

秋篠宮ご夫妻は、5月9日、東京・新宿区にある保育園と幼稚園を一体化した「認定こども園」を訪問されました。

「認定こども園」を訪問された秋篠宮ご夫妻(東京・新宿区)
「認定こども園」を訪問された秋篠宮ご夫妻(東京・新宿区)

段ボールで動物などを作る園児と触れ合われたご夫妻。

子どもたちと触れ合う秋篠宮さま
子どもたちと触れ合う秋篠宮さま

秋篠宮さまは「これはキリンですか?」などと声を掛けられ、紀子さまは自らハサミを使い子どもたちと工作を楽しまれていました。

工作をお手伝いする紀子さま
工作をお手伝いする紀子さま

このご訪問は、毎年「こどもの日」にちなんで行われているもので、3年前に両陛下から皇太子ご夫妻と秋篠宮ご夫妻に引き継がれています。

子供たちのダンスをご覧になる秋篠宮ご夫妻
子供たちのダンスをご覧になる秋篠宮ご夫妻

また、園児のダンスをご覧になったご夫妻。一緒に歌を口ずさまれた紀子さまと秋篠宮さまは、子どもたちをやさしく見守っていらっしゃいました。

常陸宮さま 第72回愛鳥週間「全国野鳥保護のつどい」へ

常陸宮さまは5月13日、東京・新宿区で開かれた第72回愛鳥週間「全国野鳥保護のつどい」に出席されました。

第72回愛鳥週間「全国野鳥保護のつどい」(東京・新宿区)
第72回愛鳥週間「全国野鳥保護のつどい」(東京・新宿区)

日本鳥類保護連盟の総裁を務められている常陸宮さま。長年、鳥類をはじめ野生生物の保護に取り組み、ご夫妻で熱心に活動されています。

平成22年5月 野鳥を観察される常陸宮ご夫妻(石川・小松市)
平成22年5月 野鳥を観察される常陸宮ご夫妻(石川・小松市)

式典では、野鳥保護に貢献した個人や団体への表彰が行われ、常陸宮さまは拍手で功績を讃えられていました。

拍手で功績を讃えられる三笠宮さま
拍手で功績を讃えられる三笠宮さま

この後、兵庫県尼崎市立成良中学校の生徒による、活動発表が行われました。

境保全活動の発表を行なう兵庫県尼崎市立成良中学校の生徒たち
境保全活動の発表を行なう兵庫県尼崎市立成良中学校の生徒たち

野鳥との共存を目指し生活環境の改善に取り組んでいるという報告に、常陸宮さまは熱心に聞き入っていらっしゃいました。
(「皇室ご一家」第1954回 平成30年5月20日放送)

※記事サムネイル「提供:日本赤十字社」

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