11年連続で地価が上昇している福岡県。なかでも福岡市は住宅地の地価上昇率が9%と全国の県庁所在地でトップとなっている。

5億6億は当たり前 10億円の物件も

福岡市の大濠公園。富裕層向けの高級マンションの需要が高まっているエリアだ。福岡県内の地価の上昇を牽引している。

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地価が上がり続けている背景について『九州産業研究所』の板井工典社長は「福岡というのは日本のなかでも人口が増えていっている特性を持つエリア。コンパクトシティでありながら、天神と博多という二大商業地域があり、それが目覚ましい発展をしているというのは、日本のなかでもかなり希少な街として評価されている」と話す。

九州産業研究所の調べでは、福岡市内の新築マンションの平均価格は2024年、6千万円を超え約10年で2倍となっている。

特に顕著なのが富裕層向けの超高級マンションの開発で即完売の物件も多く、大濠公園周辺や天神近辺などは土地の争奪戦になっているというのだ。

板井社長は「我々も30年以上観測しておりますが、昨今のこの富裕層の方々の動きというのは本当に驚かされるばかりで…。価格だけでいくとやはり5億円以上。今後に関しては10億円。そういったケタの物件も予定されている」と話す。

5億、6億は当たり前、ついに福岡にも登場するという10億円超えの“億ション”。これから福岡のマンション開発はどこへ向かうのか。

鉄道会社が目論む不動産戦略とは

JR九州の古宮洋二社長は2025年4月の会見で「当社の分譲マンション、MJRの竣工戸数が1万戸を達成致しました。このMJRという言葉が、九州のブランドになったのではないかと私は思っているところ」と自社が手がけるマンションブランド、MJRについて発表した。

九州を中心に関西、そして首都圏にも開発を広げているJR九州。今後もMJRブランドを軸としたマンション販売を含む不動産事業を重要な投資先と位置づけている。

旺盛な住宅需要で福岡のマンション価格が上がり続けるなか、鉄道会社であるJR九州が考える今後の不動産戦略はどんなものなのか。

一番広い部屋は320平米ほど…

福岡市中央区警固の交差点の一角、地下鉄赤坂駅を最寄り駅にして、天神にも徒歩で行ける一等地だ。この場所で2027年の完成を目指し、JR九州が、福岡のランドマークにしたいという高級タワーマンションの工事が進んでいる。

JR九州・住宅開発部の安藤康隆担当部長は「43畳のリビングダイニング。上層階の一番広い部屋は320平米ほどあり、それなりの広さになりますので、お値段も…」とモデルルームを案内してくれた。

福岡市中心部では”億ション”も珍しくないなか、不動産関係者の間でも福岡トップクラスの価格になるといわれているMJRのタワーマンション。JR九州は福岡にとどまらず首都圏や国外の富裕層を取り込みたい考えだ。

九大跡地の“まちづくり”の今後は

さらにJR九州が関わる大きなプロジェクトが、福岡市東区の九州大学箱崎キャンパス跡地の再開発だ。

JR九州は、2017年に箱崎と同じく九大跡地である福岡市中央区の六本松地区で『MJR六本松』を居住エリアの軸に商業施設などとの複合開発をJR沿線外で初めて手がけた。箱崎地区は複数の事業者との共同開発になるが、六本松での経験も踏まえ取り組む構えだ。

JR九州の安藤担当部長は「六本松の開発に於いては、住宅と商業と一体となった“まちづくり”ということで、新たな賑わいをつくっていけたと感じている。箱崎は大きなプロジェクトになります。魅力づくりも含めて、新しいまちに新しい住宅をと注力していきたい」と今後の抱負を語る。

超高級マンションからまちづくりまで―。JR九州は、マンション年間販売額について300億円を目指したいとしているが、そのためには富裕層だけでなく、中間層でも購入できるマンションを開発していく必要がある。しかし、いまの福岡では難しい状況もあるようだ。

安藤担当部長は「福岡市はさまざまなマンションが、いま建ち並んで供給されている。土地はどんどん価格が上がっていて、私たちも土地を購入するにあたって苦労していす」と話す。さらに「私たちとしては、MJRをこの福岡で供給し続けることで、MJRのファンになって頂けると感じている。これが最終的には用地売買に於いても『MJRにどうかな』とお話頂けると考えている」と続けた。

国内外の取り巻く環境が目まぐるしく変わるなか、上昇し続ける福岡のマンション相場。買いたい人が買える日はいつになるのか。争奪戦はしばらく続きそうだ。

(テレビ西日本)

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