三菱UFJフィナンシャル・グループは、2026年度中にネット専業銀行を設立する方針を固めた。実店舗を持たずコストを削減し、預金金利や手数料で顧客への還元を検討していて、若者層の取り込み強化を図る。
スマホ完結で削減したコストを利用者に還元

関係者によると、三菱UFJフィナンシャルグループが、インターネット専業の新しい銀行を2026年度中に設立する方針を固めたことが分かった。

新銀行では、決算や預金などのサービスが全てスマホで完結できる。

その上で、店舗が不要となるなどのコスト削減分を、預金金利の引上げや、振込手数料の引下げに還元することを検討している。

これまで利便性などの点で、ネット銀行が得意としてきた若者層の取り込みにメガバンクも参戦することで、顧客獲得競争が一層激しさを増しそうだ。
Google連携など体験価値重視の動き広がる
「Live News α」では、大阪公立大学 客員准教授の馬渕磨理子さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
ネット銀行の設立には、どういった狙いがあるんでしょうか?

大阪公立大学客員准教授・馬渕磨理子さん:
非常に注目すべき動きだと思っています。MUFGの狙いについて報道されている通り、若年層の取り込みは大きな柱です。
スマートフォン一つで全てのサービスが完結し、店舗コストを削減した分を金利や手数料に還元する戦略は、デジタルネイティブな若い世代にとって魅力的なはずです。
ただ、私はMUFGの狙いは、それだけにとどまらないと見ています。
堤キャスター:
それはどういうことでしょうか?

大阪公立大学客員准教授・馬渕磨理子さん:
狙いは明確です。店舗コストを削減して、その分を預金金利や、手数料の優遇に回すことで、若い世代の合理性とお得感へのニーズに応えようとしています。
そして、Googleとの連携もそうです。新しいデジタル体験をアレンジしていく、ユーザーの使いやすい画面やアプリ開発というのは、金融サービスの利便性を一段と引き上げていくと思います。
我慢比べの時代から価値競争の時代へ
堤キャスター:
私たちの、銀行との向き合い方というのも変わっていくんでしょうか?

大阪公立大学客員准教授・馬渕磨理子さん:
この銀行業界全体を俯瞰すると、日銀の利上げや、グローバルな金融政策の不透明感が続く中で、収益モデルの転換が急務となっています。
金融業界は、我慢比べの時代から価値競争の時代へと大きく舵を切っています。具体的には、これまでMUFGは低金利の環境の中でも競争をリードしてきましたが、今後は金利だけではなく、体験価値やデジタルサービスでの差別化が求められる時代です。
特に若い層にとっては、金融サービスが日常の一部となっていて、資産形成やライフプラン設計のハードルが下がってきています。
堤キャスター:
銀行のサービスそのものが、大きく変わっていきそうですね?
大阪公立大学客員准教授・馬渕磨理子さん:
そうですね。今後の展望としては、メガバンクとネット銀行の垣根がますます低くなって、金融の枠を超えた新しい価値創造が進むと思います。
MUFGの新しい挑戦が消費者の選択肢を広げて、日本の金融イノベーションを一歩前に進める、こうした起爆剤になることを期待しています。
堤キャスター:
ネット銀行は、利便性の高さと安全性をどう両立させるのかが、ユーザーの支持を得る鍵になるかと思います。メガバンクであることの強みを生かした、プラスアルファのサービスを期待したいです。
(「Live News α」5月7日放送分より)