コンビニ各社は、随意契約の備蓄米を小容量パックで販売開始する。ローソンは独自入手の古米を「ヴィンテージ米」と名付け、おにぎりとして発売することでサステイナブルな食の循環を目指すという。専門家は、コンビニの物流網や店舗機能が食料安定供給に寄与すると評価する。

備蓄米を小容量パック化しコンビニが全国展開へ

コンビニ各社は、随意契約の備蓄米を1~2kgの小さい容量のパックで販売する。ローソンでは「ヴィンテージ米」のおにぎりも提供する。

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3日午前9時頃、小泉農水相は、備蓄米の売り渡しの申し込み状況について、次のように述べた。

小泉農水相:
町のお米屋さん、中小のスーパーさん、計2日間で1500件まで来たと。体制も強化しながらやっていますので、全部待ってということでなく、(準備が)できたところからどんどん出ていくようにしたい。

販売開始以降、各地で完売が相次ぐ中、コンビニ各社は備蓄米の販売概要を発表した。

ファミリーマートは1kgを360円で、早くて6日から販売を開始する。セブンーイレブン
は、無洗米にして2kgを800円前後で、ローソンは小容量パックに分け1kgが360円・2kgは700円で販売する予定だ。

こうした中、ローソンは3日、創業50周年を記念し、街の課題解決に向けた新たな取り組みを発表した。

ローソン・竹増貞信 社長:
お米・おにぎりで、サステイナブルな食の循環を目指していきたい。

新たにスタートするのは、古米を使ったおにぎりの強化策だ。

独自入手した2023年産と2022年産の米を、「古米」ではなく「ヴィンテージ米」と名付け、食べやすいおにぎりにする。

価格はローソンのおにぎりシリーズで最も安い120円程度に設定し、関東の一部店舗で7月上旬にも販売される。

ローソン・竹増貞信 社長:
「備蓄米いいよね、大丈夫だよね」そういう風な認識を広めることができれば、今後、お米の安定化にもつながっていくのかなと。平時は「便利」と「おいしい」ということを切り口に、有事のときは街に安心感をお届けしたい。それが僕らの使命なんだと。

全国網と物流力で広がる備蓄米の供給体制

「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
誕生から50年を迎えたローソン。店長、さらには本部でのバイヤーや商品開発などに携わった渡辺さんは、どうご覧になりますか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
嬉しく、感慨深いものがあります。私が開発したものに、ティッシュの箱部分を広告にしたアドティシュがありますが、50周年記念商品の「からあげクン」バージョンが発売されていて、少しは貢献できたかなとも思います。

ローソンにとって転機となったのは、1995年の阪神・淡路大震災での対応です。サプライチェーンをフルに活用して、災害時でも消費者が必要とするものを店舗で用意して、後に日本のコンビニの災害時対応の基礎となっています。

堤キャスター:
現在の米の価格高騰に対する、コンビニの対応については、いかがですか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
現状の随意契約の備蓄米の第1弾は、年間1万トン以上の米取り扱い量の大手小売に限られ、都市部の局所的な販売が中心になっていました。

それが注目の第2弾では、もちろん量にもよるのですが、コンビニにも供給され、全国の市区町村にある57000店舗前後の店舗網と、それに伴う物流体制により、全国津々浦々に、備蓄米が行き渡るようになるのではないかなと思います。

「安心」・「便利」を届ける社会インフラの最前線

堤キャスター:
コンビニは広く全国に商品を届ける、生活インフラとしての役割を担っていますよね?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
例えば、今回ローソンが発表した「ヴィンテージ米」の「おにぎり」であれば、調理をしない層にも行き渡りやすくなります。

また、ローソンの場合、約3分の2の店舗で厨房があるため、店内調理によって、収穫から年月が経ったお米でも、出来立ての美味しい状態で提供することも可能です。

さらには、冷凍のおにぎりも展開しているため、中長期的にも、消費者が求めやすい価格で、安定的に提供することもできるように思います。

堤キャスター:
コンビニは、社会でさまざまな役割を担っていますよね?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
平時には、「便利」や「おいしい」を日本全国に届けて、24時間営業による防犯への貢献、インバウンド対応、行政サービスの提供、また、買い物弱者対策にもなっているのではないかと思います。

何より大規模な災害や、米の高騰など、いざ有事の際には、暮らしに寄り添う食糧安全保障として、大きな役割を担っており、今後も求められいくのではないでしょうか。
(「Live News α」6月3日放送分より)