パナソニックがフェムテック事業に本格参入し、体調予測サービスを発表した。小型のウェアラブル機器で基礎体温や睡眠状態を測定し、アプリでスコア化し対策を提案する。専門医は健康意識の高まりを評価する一方で、「数値に依存しすぎないことも大切」と助言する。
睡眠と基礎体温を測るデバイスで新しい体調管理
パナソニックが、フェムテック事業に本格参入する。

生理や更年期症状など、女性特有の健康課題で見込まれる社会全体の経済損失の金額は、年間3.4兆円に上る。(出典:経済産業省 2024年)

そんな女性の課題に寄り添うため、 東京・渋谷区のPanasonic Beauty OMOTESANDOで2日、パナソニックがフェムテック事業に本格参入すると発表した。

パナソニック ビューティ・パーソナルケア事業部・北岡慶子部長:
第1弾となるインナーケアサービスが、体調ナビゲーションサービス「RizMo(リズモ)」です。

手のひらよりも小さいウェアラブルデバイスと、独自のデータ分析技術を使ったアプリで展開するサブスクリプションサービス「RizMo(リズモ)」。

山下あす奈記者:
こちらの機械を下着に挟むだけで、睡眠の状態や温度を測ることができます。

寝ている間の衣服内の腹部の温度と睡眠状態のデータは、ボタンを押すだけで、あっという間にアプリに転送完了する。
生理の周期で日々変わる女性の体調の変化を、測定結果を基に予測する。

「今日の体調予報」をスコアなどで表示したり、「先々の体調予測」が確認できたり、その日のコンディションに合わせた実践しやすい対処法を教えてくれる。
さらに、感じている不調をアプリに入力すると、アドバイスも提案する。

ヘアケアなどのアウターケア商品だけではなく、インナーケアの領域にも展開を決めたパナソニック。
美容家電事業の拡大を図るだけではなく、女性に心と体に左右されない毎日を送ってほしいという思いが込められている。

パナソニック ビューティ・パーソナルケア事業部・北岡慶子部長
ずっと継続してお客様にお使いいただくことで、お客様の体調管理サポートをしていきたい。
「RizMo」と連動させていろんなものを考えてはいますが、外部の企業様との協業も含めて、美容家電の領域をちょっと超えたところも含めて、インナービューティーに取り組んでいこうと考えております。

心も体も健康でよりよい社会に。「RizMo」は、7月7日から台数限定で先行展開し、10月10日から本格的にサービスをスタートする。
美容と健康つなぐ進化に期待と慎重な活用のすすめ
「Live News α」では、産婦人科専門医で、4人のお子さんを育てる母でもある稲葉可奈子さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
パナソニックのフェムテック事業の参入を、稲葉先生はどうご覧になりましたか。

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
外側の美しさだけではなく、体の健康が美容につながるというのを家電に実装されているのが、さすが、パナソニックさんですね。
睡眠は日中のパフォーマンスに大きく影響しますので、改善したいと考えている方にとっては、とても有用だと思います。
一方で、睡眠状態が可視化されることで、それ自体がストレスとなってしまっては本末転倒です。自分は元気なのに、デバイスでは睡眠の質が「いまいち」と出る、それを改善することに疲れてしまっては逆効果ですので、元気であれば、あまり気にしすぎないというのも大事です。
一方、基礎体温を寝ている間に測ることができる、というのも画期的ですね。
堤キャスター:
基礎体温の計測は、大変というイメージがありますよね。
産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
基礎体温はなかなか正確に測れず、キレイなグラフにならなくて、測り方が悪いのか、実際そのようなホルモン分泌なのかが分からず、基礎体温を測ることに疲れてしまう、という方が少なくありません。
基礎体温は、妊活のためにはある程度参考になりますが、健康と直結しているかというと、基礎体温がキレイなグラフになっている方が健康な状態で調子が良い、というわけでは必ずしもない、という点には注意が必要です。
セルフケアで対処しようとせず 症状が辛い時は婦人科で相談を
堤キャスター:
どのような状態が良いのでしょうか。

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
毎回の生理周期の中で、2種類の女性ホルモンが乱高下をしていて、そのために基礎体温が二相性になるわけですが、その乱高下のために月経随伴症状が生じて、多くの女性が悩まされています。
妊活中でなければ、女性ホルモンが乱高下する必要はなく、必要なホルモン量は維持しつつ、なるべく、なだらかに維持されることで、生理痛やPMSなどの症状が軽減されます。
そのためには、基礎体温がキレイな二相性であることが必要なのではなく、婦人科での適切な治療が必要です。ホルモンは自分でコントロールできるものではないので、セルフケアでなんとかしようと頑張らずに、生理に伴う症状や更年期症状が辛い方は、気軽に婦人科でご相談下さい。
堤キャスター:
女性の不調は個人差が大きいからこそ、テクノロジーの力による個人にあったケアの提案は、心強いように感じます。健康管理に加えて、自分の体調のリズムを知ることで、生活の質の向上にもつながっていくことを期待したいです。
(「Live News α」6月2日放送分より)