外国人観光客でごった返す千葉県の成田空港で「イット!」のカメラがキャッチしたのは、空港で禁止されている客引きとみられる行為だ。緑ナンバーの運転手による“客引き”行為が急増し、正規のタクシー運転手などからは苦情が出ている。
外国人観光客に話しかける“客引き”
ゴールデンウィークも大にぎわいだった成田空港。

第1ターミナルでは、スーツ姿の男性たちが次々と外国人観光客に話しかけていた。

あっちでも、こっちでも、積極的に話しかける様子が確認できる。
どんな言葉を交わしているのだろうか。

“客引き”:
タクシー?

客:
フォーシーズンズホテルまでいくら?
“客引き”:
2万8000円。

目的地を聞き出し、金額を提示。交渉が成立すると客を車に案内していた。
いわゆる“客引き”だ。
“緑ナンバー”が違法な“客引き”行為
車は客から料金をもらって送迎する許可を得ている、緑ナンバーのハイヤーだった。

高山俊吉弁護士は、「緑ナンバーは国土交通大臣の許可を取っている。客引き行為は、客を選別して運転手から見てメリットのある客を選ぶ行為になるので道路運送法違反。3年以下の懲役または300万円以下の罰金という刑罰が科される」と指摘する。

近年、問題となっていたのは、許可を得ずに客を運ぶ白ナンバーの通称・白タク。
しかし今回、新たに緑ナンバーの運転手が違法な客引きを行っているとみられているのだ。
“客引き”「予約していますよ」
また、成田空港も“客引き”は禁止しているが、客引きに案内されていた外国人観光客はロビーで次のように声をかけられたという。

外国人観光客:
彼は私たちがタクシーが必要かどうか聞いてきたので、「イエス」と言った。1万3000円です。予約はしていない。
そこで、客引きとみられる男性を直撃すると…。

“客引き”:
(Q,ロビーで声かけは禁止と知っているか?)ロビーじゃなくて、予約していますよ。
(Q,予約していないと言っているが?)……。

外国人観光客:
(Q.予約したか?)NO Reservation(予約していない)。

“客引き”:
(Q.こう言っているが?)予約した際…。
たどたどしい日本語で焦りの表情を浮かべた男性。
車は緑の枠がついた緑ナンバーで、客を乗せると車で走り去っていった。
「日本語分からない」繰り返し逆ギレ
別の客引きとみられる男性を直撃すると…。

“客引き”:
日本語分からない。ごめんね、分からない。
「日本語は分からない」と繰り返し、最後は逆ギレ。逃げるように去っていった。
ロビーには日本人の客引きも。

“客引き”:
(Q.ルール違反だが?)みんなやってますよ。
(Q.ダメだと知らなかった?)何それ!ついてこないで!ついてこないで!ついてこないで!
正規のタクシー運転手からも苦情
こうした違法な客引きに、ルールを守るタクシー運転手は深刻な被害を訴える。

正規のタクシー運転手は「(目的地が)遠いお客さまを選んで声を掛けていて、私たちの売り上げが少ない日もある」「近いところの客は僕たちにやらせるみたいな感じで声を掛けている」「私たちの仕事が本当になくなっちゃう。そういう恐れがあります」と話した。
彼らによる迷惑行為は他にも。
成田空港の第1ターミナルには3つのレーンがあり、一般車が利用するレーンは、道路交通法により、人の乗り降り以外の駐停車は禁止となっている。

ところが、一般車のレーンに誰も乗っていない緑ナンバーの車が列を作り駐車。
これらのほとんどが客引きの車だという。

正規のタクシー運転手は「お客さん見つかるまでずっと路上駐車しているので、空港の中が大渋滞する。そうすると、私たち、お客さま乗せて空港に来たときに空港に入れない、そういう状況が起きている」と話す。
一般客にも影響が…
さらには利用する一般客にも影響が出ていた。

一般車が何台か入ってきたが、渋滞が起きてしまって、なかなか止められるような状況ではなかった。
利用客は「合流地点までずらっと車がいて、ルールは守ってほしい」と話した。

成田空港は警察と連携し、ロビーでの客引きや違法駐車の取り締まりを引き続き行っていくとしている。
(「イット!」5月7日放送より)