宮崎市鏡洲で発生した約24ヘクタールが焼失した山火事は、211人の消防団員の迅速かつ的確な消火活動により、発生から2日で鎮火した。消火活動では「水」の確保が難題だったが、地域の方や消防OBによる水先案内など、消防団の連携と地域の知識が生かされた。現在、消防団は団員が足りていない。宮崎市消防局は消防団の重要性を訴え、募集を続けている。
広がる山火事を2日で鎮火

3月25日に発生し、約24ヘクタールが焼失した宮崎市鏡洲の山火事。鎮火までの2日間に、延べ211人の消防団員が消火活動にあたった。
火災による被害を最小限に抑えたとして、4月30日、宮崎市消防団に賞状が贈呈された。

宮崎市役所で行われた贈呈式には、宮崎市消防団の高橋昌久団長や青島・木花・清武・赤江・田野、5つの分団の代表が出席。清山市長から賞状が贈られた。

式では清山市長が「迅速かつ的確な初期消火により、人命が失われることなく、山林被害も最小限に留まりました」と感謝の言葉を述べた。

宮崎市消防団 高橋昌久団長:
消防団活動は私たちの使命だと思っている。40万市民の安心・安全は、消防団にもかかっていると自負している。団員一同、今後もしっかりと活動を続けていきたい。
消防団の強み「地域を熟知していること」
山火事が発生から2日で鎮火に至った裏側では、消防分団同士の「連携」と消防団員の強みである「地域を熟知していること」が発揮されていた。

木花と清武にまたがっていた鏡洲の山火事。木花・清武のほかに、青島・赤江・田野の合わせて5分団が山にホースを延ばしたり、農業用水をポンプ車に入れたりするなど役割を分担、連携して消火にあたった。

宮崎市消防団 椎屋成人副団長:
清武側、木花側に円をかくように燃え広がっている状況だったため、早い段階で、木花分団の管轄ではあったが、清武分団にも出てきてほしいと伝えた。

「水」の確保が難しい場所での消火活動だったが、生かされたのは消防団の強み「地域性」だった。
宮崎市消防団 椎屋成人副団長:
地の利に詳しい地域の方や、消防団のOBの方などの知恵を借りながら水先案内をしてもらったりして、消火活動をすることができた。

宮崎市消防局は今回の山火事について、「消防団員の数が頼りになる人海戦術で消火に至った」と振り返っている。

そもそも消防団員は、普段はそれぞれの仕事をしながら、非常勤特別職の地方公務員として地域の安全を守るために活動している。その実態はボランティアに近い。宮崎市では、2271人が消防団員として活動しているが、条例で決められている定数2493人を満たしていないのが現状だ。このうち30歳未満は178人で、平均年齢は44.7歳。
宮崎市消防局は、消防団員の減少は重大な問題だと捉えていて、ポスターやSNS、CMのほか、地域のイベントなどで募集を行っている。
(テレビ宮崎)