群馬・神流町で、水道水に細菌カンピロバクターが混入し、11日以降、住民14人が下痢などを発症した。配水池に排水路から農業用水が逆流した可能性が高いという。
専門家は全国で起こり得ると警告し、色やにおいに違和感があれば飲まないよう呼びかけている。
14人発症…配水池調査で異常発覚
群馬県の南西部にある神流町を流れる神流川は、関東一といわれる清流を誇り、この時期は、その流れの上を泳ぐ800匹の鯉のぼりが話題になる場所だ。
そんなのどかな町で、思わぬところから食中毒が発生した。

テーマは「安全神話が崩壊?水道水で食中毒ソレってどうなの」だ。
4月11日以降、神流町では住民14人が下痢や腹痛などの症状を訴えた。いずれも快方に向かっているということだが、実際に被害にあった方に話を聞いた。

体調を崩した町民:
最初は熱が出た。とにかく後は下痢がひどくて、便所のそばから離れられない。最初は原因が分からなくて、町の対応も水を一切使わないでとか説明してくれれば。最初はだるかったり、節々が痛かったり、コロナかと思った。
体調を崩した町民:
だるくてだるくて。汗が出て、そして下痢が出た。死ななくて良かった。

町が安定して水を供給するために、一時的に貯めておく配水池と呼ばれる施設を調査したところ、水道法の水質基準を超えていたことが判明した。

複数の住民から細菌のカンピロバクターが検出され、県は水道水が食中毒の原因だと断定した。
現在、町では水道水を飲まないように呼びかけ、これまで2リットルのペットボトル6本を5回、各世帯に配布している。しかし、町の人々からは不安の声が聞かれた。

神流町民(80代):
連休になるから困っちゃう。うちは(食中毒に)かかったら大変。年だもの。お父さんも年だし、かかったら大変。私は83歳だから下痢なんかしたら大変。
専門家「再発防止を徹底して」
イット!のスタジオでは…
青井実キャスター:
食中毒が水道水からということですが?
SPキャスターパックン:
怖いですね。日本は水道水が美味しくて、安全であることは有名です。観光客も喜んで水道水を飲んでますが、是非安全神話じゃなくて安全事実として守っていただきたい。あと僕は、節約としてみんなに勧めてるから、僕のためにもよろしくお願いします。
青井キャスター:
今回、神流町で水道水にカンピロバクターが混入してしまった原因は、次のような可能性があると言います。

通常、浄水場からくる水は配水池を通り、住民のもとへ届きます。この配水池があふれないように排水路が作られていますが、そこには農業用水の排水路が合流しており、そこが逆流したのではないかと言われています。

専門家の食環境衛生研究所・内山博文さんによると、実は水道水が原因の食中毒は何年かに一度起きていて、そこまで珍しくないということです。
つまり、今回と同じような構造の水の供給システムがある場所では、全国どこでも起きる可能性があるようです。安全なはずの日本の水道水に事故が起きてしまったことに、内山さんはこう話しています。

食環境衛生研究所・内山博文さん:
日本の水は、世界トップレベルの安全性を誇っている。毎回煮沸するのは、日本人には定着しない。浄水場や水道局の人為的なミスだとしたら、再発防止を徹底してもらえればと思います。
青井キャスター:
私たちが食中毒にかからないためには、どういう対処をすればいいのでしょうか?
食環境衛生研究所・内山博文さん:
透明なコップに水を出し、色やにおいを嗅いだり、濁りがないか、普段と違和感があるかどうか確認し、違和感があれば絶対に口にしないことが大事だと思います。市販のペットボトルの購入や、ウォーターサーバーの水を利用するといった対処法が考えられます。
青井キャスター:
町の担当者は「多大な迷惑をおかけし、大変申し訳ない。再発防止策を講じ、なるべく早く飲用水の復旧を目指したい」と話しています。
日本の水道水の安全神話は崩れてしまうのか。速やかな対策が待たれる。
(「イット!」4月30日放送より)