ゴールデンウィークに入ったばかりの4月26日夜。
栃木・那須塩原市の高速道路上で起きた事故のきっかけは、逆走車だった。

「正直、もう何が起こったのか分からなかった」と語るのは、逆走車に当て逃げされた男性。
逆走車は速度を落とさず衝突?
前を走っていたトラックが突然右に車線変更すると、目の前に逆走車が現れたという。

男性はハンドルを右に切って避けようとしたが、間に合わず接触した。
逆走車は接触したあとも止まることなく、走り去っていった。

当て逃げされた男性:
タイミングが遅かったら、もう本当にどうなっていたかわからなかったですね。

逆走車は、さらにそこから約2.3km走り、追い越し車線で別の車と正面衝突した。

この事故で、逆走車を運転していた前原雄太さん(42)と、衝突された車の平岡勝利さん(56)が死亡した。

その後の調べで、現場には逆走車の目立ったブレーキの痕がなかったことが判明。
警察は、逆走車が速度を落とさず、乗用車に衝突した可能性があるとみている。
“事故渋滞”の列に大型トラックが
さらには、この事故で発生した渋滞の列に大型トラックが突っ込む事故も…。

追突された車に乗っていた長嶋弓子さん(60)が死亡し、トラックを運転していた54歳の男が逮捕された。
3人が死亡、10人がけがをした一連の事故。
きっかけとなった逆走は、なぜ起きたのか?
今回、逆走車の通報が相次いだ黒磯板室インターチェンジ付近に向かうと…。

信号があり、右に行くと本線に合流、左は本線から下りてくる車が通る道で、左に行くと逆走という形になるのだ。

事故を起こした車がこの場所から高速道路に入ったとすると、最初の信号で進入禁止の上り方面に進んだ可能性がありそうだ。
インターチェンジの“平面交差”構造が原因?
このような構造は“平面交差”と呼ばれ、実は全国各地にあるという。
岐阜県にある東海北陸道の美並インターチェンジもその1つだ。

実際に現地を訪れると、本線への合流を促す右折の表示はあるのだが、道路上の色分けも薄くなり分かりづらい状況…。
右折すれば本線に合流するが、左折すると逆走となる。

ほかにも、2016年10月には秋田・由利本荘市で、同じ平面交差のジャンクションから軽乗用車が侵入し逆走、大型トラックと衝突し、3人が死亡する事故が起きている。
専門家「平面交差があるのは異常」
こうした構造について、専門家は警鐘を鳴らす。

日本自動車ジャーナリスト協会・菰田潔会長:
高速道路の範囲内にそういう平面交差がある、一時停止がある、信号があるということは異常なことだと思いますね。
運転手の精神状態が不安定な場合でも、焦っている場合でも、逆走しないような道路構造にしないといけないと。

車の移動が多くなるゴールデンウィーク。
もし逆走車に遭遇した場合、どうすればよいのか。
日本自動車ジャーナリスト協会・菰田潔会長:
まずはブレーキをかけてスピードを落とすこと。それから左に寄っていくことですね。
逆走車も左側通行のつもりで来ているので、避けるとすれば左側に避けますから、こちらも左に避ければ、お互いにすれ違うことができるかもしれない。
(「イット!」 4月28日放送より)