福岡市のマンションで突然、家賃が約1.5倍となる大幅値上げが住民に通告された。
その一方で、廊下の蛍光灯が何カ所も消えたままの状態になっていた。
住民たちは「(まるで)“追い出し”ですよね」と不安を募らせていた。値上げの目的は一体何なのだろうか。
家賃が約1.5倍に…突然の家賃大幅値上げ
マンション住民への突然の家賃大幅値上げ通告。それは九州の最大都市、福岡でも起きていた。
当該マンションに住むAさん:
6万8000円のところが9万8000円。いきなり3万円のベースアップ(値上げ)。

家賃が約1.5倍、駐車場代に至っては2倍以上となっていた。
その一方で、廊下の蛍光灯が何カ所も消えたままの状態に。

当該マンションに住むBさん:
(まるで)“追い出し”ですよね。払えなかったら出ていってくださいと。最初に思ったのはそれです。
値上げの目的は何なのか。オーナー側の言動に向き合う住民たちは、疑心暗鬼を募らせている。
当該マンションに住むBさん:
(民泊ではなく)はじめに「寮にする」と言ってました。

家賃値上げに揺れるのは、福岡市内にある築35年ほどの賃貸マンション。
エレベーターはないもののJRの駅に近く、福岡空港や博多駅まで約30分で行ける便利な場所にある。
3LDKの物件に暮らすAさんのもとに“ある知らせ”が届いたのは2025年4月だったという。

当該マンションに住むAさん:
「管理会社が変更になりました」と。またここの家主が代わったのかなという思いでした、そのときは単純に。
この段階では違和感はなかったというAさん。
しかし、その後、2025年10月から6万8000円の家賃が9万8000円へと約1.5倍となる値上げ通知する書面を受けたのだ。

当該マンションに住むAさん:
値上げ9800円の間違いじゃないの?(さらに)駐車場代が6600円から1万5000円ということになりまして、倍以上になってるし、これはちょっと異常だなと。
こうした値上げを通知の書面は、他の住民のもとにも郵便受けに直接投函(とうかん)されていたという。

当該マンションに住むBさん:
(値上げ通知前の)家賃は7万円です。今回が10万1000円、僕より嫁の方が怒ってます。

当該マンションに住むCさん:
年もとって嘱託とかなっていくじゃないですか。だから当然収入も減りますよね。その中で(家賃が)上がっていくのは、ちょっときついですね。

新しい管理会社側は、公共料金の値上げ等で管理コストが上昇したため「近隣物件の相場に沿った形での価格見直し」だと説明するが…。
当該マンションに住むBさん:
近隣の所を調べると、今現在の家賃が妥当な金額なんです。

「イット!」番組取材班が近くにある複数の不動産会社に尋ねたところ、「値上げ通知前の家賃のほうが妥当だ」と回答した。
住民たちは困惑…廊下の蛍光灯が消えても交換されず
突然の値上げに戸惑う住民に、さらなる困惑の事態が相次ぐ。

住民が撮影した共用部の映像をみると、廊下の蛍光灯がいくつか消えたままで管理会社に連絡をしても交換される様子がないという。
当該マンションに住むAさんは「我々入居者を退去させるための値上げを提示してきたのかなというのが本当の思い」と話す。

もともと14の部屋全てに住民が入居していたが、家賃1.5倍への値上げが通知されて以降、現在までに2世帯が退去し空室となっている。

残る住民たちは団結し、値上げに異論を訴え始めると、管理会社側は「ニュースで報道されているような民泊を行う予定は一切ございません」という貼り紙をしたという。
民泊を否定した一方、住民の1人は管理会社の担当者から直接次のような話を耳にしたというのだ。

当該マンションに住むBさん:
はじめに「寮」にすると言ってました。空く部屋がわかっていたので(どうするのか)聞いたら寮にするということで、返答はしていた。
マンション管理会社だと住民に説明した担当者の名刺には、「学生管理」や「学生募集」の文字もあった。

実は、この担当者が所属するX社は福岡を中心に外国人向けの日本語学校なども展開している。

そして、そのX社のグループ会社に当たるY社が、2025年4月から今回騒動になっているマンションの登記簿上のオーナーになっていることが判明している。
家賃1.5倍は、マンションを外国人学生の寮にするためなのだろうか。
その後、住民Bさんが改めて担当者に聞くとこう答えたという。

当該マンションに住むBさん:
「以前寮にすると言ってましたよね」と「寮にするんですか」と言ったら、寮はまだ家主さんがどうのこうのと言って、ちょっと不信感はある。
当該マンションに住むAさん:
住民の心一つにして進むべき道を決めた。まず家賃の値上げに対する反対と内容証明郵便を配達証明郵便で管理会社の方に送付しました。
突然の大幅家賃値上げを巡る今回の騒動。お互いの主張が対立する場合、どのような解決手段があるのか。

橋下綜合法律事務所 溝上宏司弁護士:
協議が調わない場合には、借り主さんの方として法務局に従前通りの賃料額を供託する方法をとっていただくことになる。裁判所で増額した賃料が適正か判断が下るまでの間は、それで賃料の不払いはないと判断されます。

「イット!」番組取材班は、今回の一件の当事者である管理会社X社と登記簿上のオーナーY社にそれぞれ取材を申し込んだが、今のところ応じていない。
(「イット!」 8月5日放送より)