鹿児島県の種子島でアオリイカ釣り大会が開かれた。全国から集まった釣り人が大物を追い求め、夜明け前から島中を駆け巡った。
高級イカを狙え!種子島全島が“勝負の舞台”に
九州ではミズイカとも呼ばれるアオリイカは肉厚で濃厚な甘みが特徴の高級品だ。そんなアオリイカを狙うイカ釣り大会が、2025年4月20日、鹿児島県の種子島全島を舞台に開かれ、全国から腕に覚えのある釣り人たちが種子島に集結した。

大会のルールは、500グラム以上のアオリイカ3杯の総重量で勝敗を競うというシンプルなもの。しかし渡し船や船釣りは禁止で、釣り方も釣りざおを上下に動かして「エギ」と呼ばれる疑似餌を本物の餌のように動かす「エギング」と呼ばれる方法に限られている。



雨と風との戦い、そして待望の一匹

この日はあいにくの雨。そんな中参加者は、まだ夜の明けきらぬ島内の各ポイントへと散っていった。西之表市の市街地から車で約10分のポイントを選んだ男性は、釣り始めてから約1時間で当たりがあり、丸々としたイカを釣りあげた。しかし釣ったのは「コウイカ」。「ミズイカだから…またちょっと違うかも」と少し残念そう。参加者の期待と緊張感が伝わってきた。


別のポイントにも、釣りざおを上下にしゃくり、アオリイカがかかるのを待ち続ける参加者がいた。中にはすでにクーラーボックスからはみ出しそうな大きなイカをつり上げた人も。「着いてすぐ(釣れた)、(午前)5時40分。初めてこのサイズを釣ったので。」と、満足そうな様子だ。


釣り人同士の交流も目的の一つ、そして結果は?
一方、閉会式の会場では、焼きアオリイカが無料で振る舞われ、キッチンカーも出店し大会を盛り上げた。こうした工夫で釣り人同士の交流を深めるのも大会の大事な目的となっている。



さて、大会のほうだが、風が強くなるにつれ、多くの参加者が早めに釣りを切り上げ、検量場に集まった。スタッフが、参加者の釣ったイカをはかりに載せるたび、「すげー!」「うわっ、でかっ!」「これは大きいわ!」と驚きの声が上がり、会場が興奮の渦に包まれる。


そして検量の結果、優勝に輝いた窪田恵也さんは、なんと合計3.5キロものアオリイカを釣り上げた。
「狙った時間、狙ったタイミングでしっかり結果を出せて大変満足している」と、窪田さんは笑顔で語った。

地域の誇りと海の恵みを実感
種子島全島を会場に繰り広げられるというダイナミックなこの大会。実行委員長の石原達さんは「天気が悪かったので心配だった。釣果はあまり振るわなかったが順調にできてよかった」と振り返り「2026年には第7回を開催したい」と、早くも次回への展望を語ってくれた。

気象条件は今ひとつだったが、閉会式で笑顔にあふれる表情をみせた参加者からは、釣果以上の充実感が感じられた。この種子島の海の豊かさと釣りの魅力が、これからもより多くの人々に伝わってほしい。
(鹿児島テレビ)