汗ばむような陽気になったかと思えば、コートが必要なほど肌寒くなったりと、春の天気は変わりやすい。その理由は、日本列島周辺にある高気圧と低気圧の関係にあった。福井テレビの村田光広気象予報士が解説する。
低気圧は「温度差」で発達
<村田光広気象予報士の解説>
この時期の天気が変わりやすいのは、低気圧と高気圧が交互に通過することが要因となる。低気圧は南から暖かい空気、北から冷たい空気を取り込んで発達するが、低気圧のエネルギー源は、暖かい空気と冷たい空気の「温度差」で、その差が大きければ大きいほど発達する。
この時期は冬の空気と初夏の空気、両方が日本付近にあるため低気圧が急速に発達し「爆弾低気圧」となることもある。

台風並みの暴風になることも
過去の事例では2012年4月3日、日本海で低気圧が急速に発達。福井市で最大瞬間風速 30.9m/sを観測した。春の発達した低気圧は台風並みの暴風となり、大きな被害をもたらすことがある。

春は低気圧と高気圧のせめぎ合い
低気圧は上空の偏西風に乗って東に移動する。低気圧が移動した後は、西から高気圧がやってくる。低気圧は、通過した後に冷たい空気をもたらすが、高気圧が大陸から乾いた春の空気を運んでくる。
日差しが強いと気温がぐんと上がる。こうやって低気圧と高気圧が交互に通過することで温度調整を行う。この時期の低気圧と高気圧はセットなのだ。

日本列島付近の2つの高気圧
なぜ、日本列島を低気圧と高気圧が交互に通過するのかというと、2つの高気圧がポイントになる。2つの高気圧とは、冬の厳しい寒さと大雪をもたらす「シベリア高気圧」と、夏の猛暑をもたらす「太平洋高気圧」。
この時期は2つの高気圧の勢力が拮抗していて、ちょうど日本列島付近に隙間ができ、低気圧と高気圧の通り道ができているイメージ。
シベリア高気圧や太平洋高気圧はほぼ同じ位置に停滞しているが、日本付近を通過する高気圧は西から移動してくるので「移動性高気圧」ともいわれている。

雨予報の後に気温が極端に下がる場合は要注意
高気圧が通過するときは晴れ、低気圧が通過するときは雨が降ります。2~3日の周期で天気が変わる場合が多いが、注意が必要なのは、雨予報の翌日の気温が極端に低くなっている場合。そのような場合は低気圧が発達し「爆弾低気圧」となることがあるため注意が必要だ。
