少しの最期でも家庭を知ってもらいたい
公益財団法人の動物保護団体での勤務やブリーダーをしていた経験もあるtamtamさんからすると、「保護して譲渡が当たり前だった」という。
知り合いから相談を受けて「預かるくらいなら里親まで探す」と決めたことが、一時預かりボランティアをはじめたきっかけだった。それから約8年経ち、これまでに50~60頭ほど預かっている。

預かる間で大事にしているのが「家庭を知ってもらうこと」だ。
「保護団体の場合、人と暮らすことを知るのは難しい部分もあります。野犬や外で飼われていて保護された場合、人と暮らす“家庭”を知らない子も多く、人間との距離感や関わり方を知らなかったりします。彼らの譲渡先はプロではなく一般家庭になるため、人間との暮らしを知らないと新しい飼い主に迎えてもらうことも難しい。我が家で預かることで、家庭に触れてもらっています」
「ボランティア」という以上、その間の出費もほとんどが自費になるケースが多いという。
「多くの方は自費だと思います。私の場合は本を出したり、寄付を募ったりしていますが、中にはご自身で働いた分のお金を、預かっている犬や猫のための食事や病院代などのケア費に費やしている方もいらっしゃいます」

そんなtamtamさんの活動のモチベーションは、「犬や猫の幸せ」にある。
時には預かってまもなく死んでしまう犬や猫もいるが、「なるべく悲しいと思わないようにしています。我が家に来ることができなかったら、もっとひどい亡くなり方をしていた可能性も。誰にも看取られずに亡くなってしまうことを思うと、最期だけでも我が家に来てくれてよかった、と考えるようにしています」と語った。
後編は、愛護センターにいた老犬と職員の愛にあふれるエピソードと、tamtamさんが新しい飼い主をどう見極め、「送り出そう」と決めているかを聞いた。
