コロナ禍で露店が並ばない「放生会」

福岡の街に秋の訪れを告げる筥崎宮の「放生会」。
博多三大祭りのひとつに数えられる。
しかし、2020年は新型コロナの影響で参道には露店も並んでいない。

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厳かに舞う巫女。
9月15日に福岡市東区の筥崎宮で行われた例大祭。
博多三大祭りのひとつに数えられる「放生会」だが、2020年は大幅に縮小され、神職など関係者だけで秋の実りに感謝を捧げるのみとなった。

筥崎宮 権禰宜・永井靖久さん:
新しいかたちにはなりましたが、神事のほう、神職としては全力で取り組んでおりますので、ぜひ雰囲気を味わって頂ければと思います

いつもなら500軒もの露店が所狭しと並び、大勢の参拝客で賑わう参道も、この秋はひっそりとしている。
「放生会」の露店が中止されるのは、太平洋戦争直後の1945年(昭和20年)以来のことだ。

地元の人:
今年は長男が小学生になったので、今年こそはお化け屋敷に入れてやろうと思っていたんですけど、お化け屋敷もないから寂しいなと思います

地元の写真館館主:
いつもは「放生会」がある前と終わった後で、なんというかな、空気感が違うっていうか…季節の変わり目のものがないっていうのは、やっぱりすごく寂しい

少しでも祭りの雰囲気を…

そんななか、福岡市博多区の遠藤商店は、少しでも祭りの雰囲気に触れられると人気の場所。

遠藤商店は、明治時代から続く老舗のおもちゃ問屋。
店頭にはドロップのお菓子やコマなど、昔なつかしい商品が並ぶ。

「放生会」の時期になると毎年、多くの出店業者が仕入れに訪れていた。

遠藤商店・遠藤和博店主:
いつの間にか「放生会」の時期になってしもたですね。前は、始まる前から(仕入れに)見えていたんですけど。気づいたら9月半ばになっていますね

なかでも毎年、たくさん売れるのが定番の「型抜き」。
砂糖で出来た小さな板に描かれた型を、針などでくり抜く昔ながらの遊び。

この日、店を訪れたのは毎年「放生会」で型抜きを楽しんでいるという親子。
自宅で祭り気分を味わいたいと、100枚入りの箱を買い求めた。

買い物に訪れた母親:
お祭りが今年はないので、これを買って、思う存分させてあげようかなと思って

ーー何枚挑戦しますか?

買い物に訪れた女の子:

できるまで!

こちらの男の子は、遠藤さんの手ほどきで型抜きに初挑戦。

遠藤商店・遠藤和博店主:
線が見えろ~?この線をね、中を割らんごとして外側だけ割っていく。わかる?そろ~っと、そろ~っとよ

型抜きに初挑戦の男の子:
あ、折れちゃった

遠藤商店・遠藤和博店主:
折れちゃったね

型抜きに初挑戦の男の子:
割れちゃった。難しかった

遠藤商店・遠藤和博店主:
個人でやってみようとかで見える方も多いですね。部屋の中である程度、何時間か子どもたちが熱中して時間潰せるってことで(買いに来た)お客さんもいらっしゃったですね

掛け紙が特別な名物「新しょうが」

一方、「放生会」の名物と言えば「新しょうが」。
毎年、この時期限定で売り出される商品にも変化が…

山本奈央リポーター:
こちらの店では、毎年この時期に新生姜を使った和菓子を販売してるんですが、今年は掛け紙が特別なデザインとなっています

大きく描かれた新しょうが。
その周りには「おはじき」や「ちゃんぽん」もあしらわれている。
コロナ禍にあって「放生会」にせめて賑わいを添えたいと、博多人形師の中村弘峰さんがデザインした。

こしあんで生姜入りのモチを包み、甘く煮た「新しょうがもち」。
2020年は前年の1.5倍の売り上げだという。

石村萬盛堂・瀧田麻衣子さん:
「放生会」のことをちょっと思い出して頂いたりとか、来年のことに思いを馳せて頂けると、すごくうれしいなと

いつもよりさびしい「放生会」。
新型コロナウイルス感染防止のため、2020年の博多の三大祭りは、春の博多どんたくが中止、夏の博多祇園山笠が延期、そして秋の「放生会」が規模縮小となってしまった。

(テレビ西日本)

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