アメリカのトランプ大統領が10日、関税を巡り報復しなかった国に対し、新たに課した相互関税を90日停止すると表明した。一方で、中国への関税は125%へ引き上げる。牛肉などの輸入価格上昇で、「カレーライス物価」は407円に達し、国民食のコスト増が今後も懸念される。
トランプ大統領が相互関税90日停止を宣言
日本の国民食、カレーライス。その美味しさの裏にも、トランプ関税のリスクが忍び寄っていた。

大手信用調査会社「帝国データバンク」は10日、2月のカレー1食あたりのコストを示す「カレーライス物価」が2024年の同じ月から88円上昇し、初めて400円を突破し、407円になったと発表した。今後、トランプ関税の影響でアメリカ産牛肉などが高騰すると、「カレーライス物価」をさらに押し上げる可能性があると指摘している。
そうした中、当のトランプ大統領は新たな方針を突如打ち出した。

アメリカ・トランプ大統領:
みんな取引を望んでいる。報復しなかった国のために90日間措置を停止する。
日本時間の10日未明、報復措置を取らずに交渉を要請している国に対しては、発動したばかりの相互関税を90日間停止すると発表した。
一方、報復措置をとる中国に対しては、さらに関税を引き上げ、125%とした。

記者リポート:
ニューヨークにあるスーパーの鮮魚売り場です。タイから輸入されたエビ、ギリシャから輸入されたヨーロッパスズキ、それから中国から輸入されたティラピアも並んでいます。
この店で売られていた中国産の魚の切り身は、現在1パック約680円だが、関税分がそのまま価格に転嫁された場合、2倍以上の約1530円となる。
日本への追加関税は10%に引き下げ
突然の発表には、戸惑いが広がっている。

ニューヨークのスーパーの店長:
どう解釈したらいいのか分からない。値段は上がると思いますが、どのようになるかは様子を見るしかない。
ニューヨーク市民:
トランプ大統領は、貿易戦争を始めようとしているようだが、誰の利益にもならない。(関税の)負担は消費者に背負わされる。
日本への追加関税は、24%から一律に課せられる10%に引き下げられる。

アメリカに茶葉などを輸出している、静岡県のお茶農家はこう話す。
やまま満寿多園・増田剛巳社長:
今朝(10日午前)、出社して従業員と顔を合わせて笑ってしまったようなところもあります。本当に90日間10%でやっていただけるのであれば、90日間のうちにコンテナをより多く送る。
また、イット!が9日に取材した日本酒を取り扱う横浜市の企業「アグナビ」は、保留にしていたアメリカへの輸出を再検討するとしている。
(「イット!」4月10日放送より)