「何かしら問題点を抱えた『瑕疵物件』の可能性があるので、不動産会社に『誰かが亡くなった物件ですか?』と聞いてみましょう」
瑕疵物件には「事故物件」も含まれるためだ。

国土交通省では「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」として、賃貸物件で殺人事件などが起きた場合、発生から3年間は「告知義務」があるとしている。
3年を過ぎるとこの告知義務は消滅するが、聞けば答えてもらえることが多いそう。少しでも気になったら、遠慮なく尋ねてみよう。
仲介手数料はケチると後悔する?
最後にちょっとした情報も紹介したい。不動産会社のなかには、仲介手数料が0.5カ月分のところもあるが、安いのには理由があるという。
「仲介手数料の残りの0.5カ月分を(物件を管理・運営する)管理会社に請求していることがあります。管理会社にとっては負担となるため、その不動産会社には条件がいい物件の情報を提供していないと考えられます。つまり、いい物件が見つからない可能性があります」
引っ越しは失敗したくないもの。留意点を知っておくと、よくわからずに契約してしまう事態は避けられるかもしれない。
上野典行(うえの・のりゆき)
慶應義塾大学法学部を卒業後、株式会社リクルート入社。求人広告の営業・制作を経験の後「リクルートナビ」を開発。現在の「スーモ(SUUMO)」も含めた商品・事業開発責任者に従事する。2012年1月より、不動産業界のコンサルティング会社「プリンシプル住まい総研」所長を務め、講演・執筆活動をしている。
取材・文=有竹亮介