貿易相手の国や地域に対する関税の引き上げにより、世界中を混乱に陥れた新たな“トランプショック”。

4日にはニューヨーク市場のダウ平均株価が、前日より2200ドル以上の下落。日本でも約8カ月ぶりに3万4000円を割り込むなど、世界同時株安が続いています。

米国では、トランプ政権の政策に抗議する大規模デモが各地で勃発。
ウォールストリート・ジャーナルも、「2日間で6兆6000億ドル(約970兆円分)の株式の時価総額が失われた」と伝える中、専門家は今回の問題をどう見ているのでしょうか。

第一生命経済研究所 永濱利廣氏:
日経平均株価で見ても、先週1週間の下げ幅は3300円以上で、これは過去最大の下げ幅です。さらに、中国が報復をしたことで、先物市場で日経平均株価が3万1000円を割っています。きょうも2000~3000円下がると思います。

――リーマン・ショックなどを超える影響が出る可能性も?
経済評論家 加谷珪一氏:
今、皆さんショックを受けて慌てて売っている状態ですが、市場というのは少し時間がたつと慣れてくるんです。なので、ここ1週間、1カ月は相当混乱するとは思いますが、その後様子を見ながら状況に適応していくので、そんなに慌てなくてもいいのではないかと。
まだ下がる可能性はありますが、このあと耐えられる企業と耐えられない企業とに分かれてくるので、持ち直す株価も出てくるかも知れませんから、少し様子を見た方がいいかもしれませんね。

――トランプ大統領としてはこれは想定内?想定外?
第一生命経済研究所 永濱利廣氏:
「しまった」と思っていると思います。(米国の金融政策の策定を行う)FRBに利下げしろと催促をしているということは想定外のことが起きて慌てているのだと。そもそも経済政策を勘違いしているので、自分が間違った政策をやっているという感覚がないのでしょうね。

――トランプ氏の狙いは「中国」ではないのか?
経済評論家 加谷珪一氏:
狙いは中国なんですが、トランプさんは「中国と戦っている強い男」を演出したいんです。習近平さんも「トランプと戦っている強い男」を演出したい。実はお互い利害がちょっと一致しているんです。米国と中国は今貿易が停滞しているので、分断しつつある状況なので、その中でお互いが戦うポーズをしている、そういう図式と思った方がいい。

第一生命経済研究所 永濱利廣氏:
そもそも経済的な考え方が間違っていて、端的に言えばトランプ大統領は米国の貿易赤字を減らしたいと考えているんですね。でも、米国の貿易赤字って実はいい意味での赤字で、米国経済が強くて世界中から物を買っているから赤字なわけです。それを無理矢理減らすということは、米国国内の景気を悪くすることなので、結果として自分の首を絞める政策をやっていると。
輸入品を排除する形で米国製品だけを世界中に売れるようにして、製造業を復活させると言っているんですが、そもそも日本で米国車がなぜ売れないかというと、関税の問題ではなく性能の問題なので、それを無理矢理やろうとしているので、それは景気は悪くなっちゃいます。

経済評論家 加谷珪一氏:
トランプさんのやっていることは明らかに間違っているんです。
損をするんですけど、時代錯誤ですがトランプさんは米国は保護主義で関税をかけて国内を守るのが国益なんだと本気で信じています。間違っていますけど。
しかも支持者の人たちは、外国に物を取られるくらいなら、自分たちの仕事が増えるんだったら、株なんか少し下がってもいいだろうくらいの勢いなんです。これはいずれ弊害が出てくるので撤回する局面が出てくるとも思いますが、今、支持者は「トランプ頑張れ」の雰囲気が強いですね。
大恐慌もあり得るの?疑問に専門家が回答
私たちの暮らしに「トランプ関税」がどれだけ影響するのか。

「サン!シャイン」では、視聴者の皆さんの不安や疑問をLINEで募集。以下のようなご意見が届きました。

「トランプ関税なんか、脅しと一緒じゃないか?」(10代)
「現在確定拠出年金にて運用していますが、うん百万下がって大変」(50代)
中にはこんな質問も…。

質問:全世界で大恐慌になってしまうのでしょうか?(50代)
第一生命経済研究所 永濱利廣氏:
大恐慌とまではいかないと思いますが、それなりの不況にはなると思います。
経済評論家 加谷珪一氏:
深刻な事態ではあるのですが、世界大恐慌という事態にはならないと思います。というのも、確かにきょうもすごい下がると思います。ただ、ダウも日経平均も今まで相当上がっていたんですよ。なので、高すぎだと言う人もいたくらいで。なので、調整ということになると、2割下がっても4万ドルなら8000ドル下がることになっちゃいますから、下げ幅としては大きくなるのですが、これが世界恐慌かというと、そこまでは行かずにすむのではないのかと。
(「サン!シャイン」4月7日放送より)