参院選の大敗後も、続投に意欲を示している石破茂首相(68)。
7月28日開かれた「両院議員懇談会」は、石破首相の「厳しい結果となったことを深く心からおわび申し上げます」という謝罪の言葉から始まりました。

そして、「決して政治空白を生むことがないよう責任を果たしていきたい」「一切の偽りのない、嘘のない心で国家・国民のために尽くす思いで臨んできたい」と、改めて続投への強い決意を示しました。

25日には、「石破やめるな」と、石破氏の続投を求めるという異例のデモも行われる中、FNNが26、27日で実施した世論調査によると参院選の結果を受け石破首相が「辞任すべき」は47.7%、「辞任しなくてよい」は44.2%と、「続投」と「退陣」で世論は二分する結果となりました。

このような世論の動きに対して、自民党の中堅議員からは、「党内のゴタゴタが長引くほど、世論の続投支持は増えるのではないか」という話も出ているといいます。
「やめるのは簡単」「方向転換できるのか」
SPキャスター 武田鉄矢氏:
続投の意思が固いですね。それと、民意といいますか、「やめないで」というデモも増えてきましたし、支持率が“珍妙な”ことに伸びてきていますよね。
私、ひとつギクッとしたのは、「石破やめないで」のプラカードの似顔絵が、みんな好意にあふれているんです。政治家の顔っていうのは悪く描かれるんですけど、石破さん急に良くなって。そのあたり、まだまだ迷走は続くかなと。

「サン!シャイン」の視聴者からは、「やめるべき。なんのための選挙なのか、大敗しているのに(50代)」という意見がある一方で、「続投すべき、やめるだけでは自民党は変わらない、彼が責任持って改革すべき(10代)」という意見も届いています。

4時間半にわたって行われた両院議員懇談会は、どのような空気感だったのか?
フジテレビの高田圭太政治部長は、「なかなか厳しい意見が出ていた」と話します。

フジテレビ政治部長 高田圭太:
首相辞任論を述べた人が43人。続投を望む声が7人、間くらいで「総括することが大事」と言う人が13人と、厳しい意見が圧倒的だったと。ただ、発言していない議員もいるので、党内の全体の世論がどうかということは、石破首相も気にしているんですが、終わった後これだけ辞任論を突きつけられたら普通はへこむところが、意外とさっぱりしていたと。重く受け止めつつも、ある意味想定していて自分なりに耐えられる範囲だったという声も入っています。

経済学者 中室牧子氏:
今後どうなるかはなかなか予測が難しいですが、今回の参院選を踏まえて、自民党が負けた理由の一つには、長く政権を取ってきた自公政権が、例えばコメの問題の時に長年「農林水産大臣は農水族の人です」みたいな、既得権に強く配慮して変化を起こせていなかったということに対する国民の審判ですよね。
それから、自民党は、若返り・世代交代ができていないのではないかということですよね。
今回(参院選の)自民党の候補者は高齢の方が非常に多かったのもありますし、そういった点について、新しい人に変わったときに、その辺を方向転換できるのかどうかということも問われてくるのではないかと。

谷原章介キャスター:
確かに、この30年間の日本の停滞は、一時期民主党政権に変わったとはいえ、ほとんど自民党が率いてきたわけで、そうなると自民党に責任があるのではないかというのが、参院選の審判な感じもしますね。

鈴木おさむ氏:
辞めるっていうのは簡単だと思うんです。相当メンタル…どんな人であれこれだけたたかれていて、「辞める」っていうのは簡単だけど、「自分がやったことはちゃんとやる」って、意外と今までそう言い切れる人がいないから、この気持ちは応援したいんですが。
例えば僕らの身の回りの会社でも、4月から7月に人事異動が多いんです。人事異動が多いときに、結構意見を先延ばしにされちゃうことが多いんです。人事で上も自分も変わるかもしれないから。意見を先延ばしにされて色んなことがフリーズしちゃうことが多い。これも普通だったら、もういいやってフリーズすることなのに、「自分はやり切る」という気持ちでいっているのが、すごい強い意志だし、いそうでいなかったなって思っています。
だってイヤですもん、たたかれるのは。
今後もし「総裁選」となった場合 ポスト石破は?
――FNNの調査では「辞任しなくてもよい」が44.2%という結果になりましたが。
フジテレビ政治部長 高田圭太:
普通大敗した首相ですから、「辞任すべき」と言う声がもう少し多いところを、「辞任しなくてもよい」という意見が意外と多いと。一部ネット上では、「しなくていいと言っているのは野党の支持者だ」という意見もあって、実際そのうちの3分の1は野党の支持者ですが、自民党の支持者の7割も辞任しなくていいと言っていまして、そこは実態とちょっと違う部分もあります。
石破さんは懇談会の後に「国民世論というものと、我が党の考えが一致することが大事だ」と言っていまして、辞任しなくてもいいという声が意外と多いことに少し勇気づけられている部分もあるのかなと。

――石破氏はなぜそこまで首相のポストを守りたいと考えているのか。“執着”しているのか、成し遂げたい何かがあるのか?
やはり、戦後80年という節目もあり、終戦の日などに自身の安全保障観などをしっかりとまとめたメッセージを出したいという部分と、やはりこれまで自身が闘ってきたもの。いわゆる政治とカネの問題もそうですが、そこに“先祖返り”するのは嫌だという思いもある。そこで、今もう一度心を固めて強く出ているというところはあると思います。

――もし石破氏が退陣となった場合、ポスト石破は?
石破さんは続ける意思がありますが、仮にこの後、強制的に総裁選前倒しみたいになった場合、やっぱり世論調査で強い高市早苗さんと小泉進次郎さんはそれなりに強い。
世論調査上は2強状態と言っていいと思います。この2人が強い。
ただし、議員の意見を重視する投票の形式だった場合は、安定感の林芳正さん、高市さんと同じ保守派だけれどもやや若手とかにも支持層の広い小林鷹之さん。
また、いろいろこれまでの実績とかから茂木敏充さんや加藤勝信さんという声も、これはある意味流れ次第だと思います。

小泉進次郎さんは、自民党と公明党の支持者から「小泉待望論」というのが比較的強めだと。一方の高市さんは、国民民主党や参政党、日本保守党など今回の選挙で躍進した勢力、自民党の支持者が流れた政党の支持者から「高市待望論」というのが強いということで、実際に党員票でどちらが重要か、自民党の立ち位置が“保守”なのか、もう少しマイルドなのかということで、この二人の立ち位置が分かれていると。

経済学者 中室牧子氏:
前回の自民党総裁選を見る限りにおいても、自民党の中ですら経済政策については一致をしていないというのが、私の印象なんです。高市さんは積極財政派という話がありますが、小泉さんや河野さんは財政再建みたいなことを積極的におっしゃっているというと、かなり経済政策については考え方が違う。
物価高対策についても、誰が総裁をやるかで、かなり方向性が変わってくると思うんです。なので、まず自民党の中で経済政策についてどういう方向性でいくのかということをまとめていただいた上で、国民に提示をしていただくのが当然のことだと思いますし、その上で、個別の政策において、少数与党になったわけですから、どの政党と組めるのかということを議論していくのが筋ではないかなと。
(「サン!シャイン」 2025年7月29日放送)