3月に起きた熊本市電同士の追突事故を受けて、熊本市が車両に速度計設置を検討する方針を明らかにした。
追突事故起こした熊本市電に速度計なし
3月に起きた熊本市電同士の追突事故では、乗客など合わせて15人が重軽傷を負った。

熊本市交通局の内規では、前の車両との距離が100メートルに近づいたら、速度を時速15キロ以下とする定めがあるが、追突した車両は100メートルの手前で27キロ、追突時は17キロだったことが明らかになっている。

熊本市電で導入されている、2009年製造の比較的新しい車両の運転席には、たくさんのスイッチがある中で、真ん中に速度計がある。一方、追突した車両と同型の運転席には、ブレーキレバーなどはあるが速度計は見当たらない。

今回追突した車両には運転席に速度計はなかった。熊本市交通局によると、速度計が設置されているのは1982年以降製造の車両で、保有する45編成のうち19編成に速度計はない。
運転士の速度感覚も試験項目で義務はない
熊本市交通局・運行管理課の荒木敏雄課長は「軌道法上、設置しないといけない義務はないということです。もともと免許を取るときに速度感覚も試験項目に入っており、そこでまず運転のスピード感覚はプロとして把握できるということを確認している」と話した。

免許取得後も、運転士に対しては局内で実務検定を毎年実施して確認。追突した車両の運転士はいずれもクリアしていた。

荒木課長は「運転士の補助的なものとしては生かせると思っていますので、積極的につけていく方向で検討したいと思っています」と話す。

熊本市交通局は大西市長の指示も受け、今後、古い車両への速度計設置を検討する方針。今回の事故で追突した車両は1956年製で、速度計はついていなかった。

熊本市交通局によりますと運転士の中にも「速度計があった方が心強い」という声があるそうで、これまで人の感覚に頼ってきた運転技術。ここへきて、さらなる安全性の担保が求められているといえそうだ。
(テレビ熊本)