東京都心、新宿区で車道1車線をつぶして歩道を広げる歩行者にやさしい道路改良工事を行う。

車線数を減らす改良工事は新宿区では初で高齢化社会に向けた新しい取組として注目されている。

道路の改良工事が行われるのは、東京メトロ有楽町線江戸川橋駅そばの江戸川橋交差点から牛込天神町交差点までの約550メートルの江戸川橋通り。歩道をバリアフリー化するために片側2車線ある車道の、それぞれ1車線を歩道に改良する工事が2024年度から4年かけて行われる予定だ。

「道路を拡幅してほしい」という陳情は全国各地でよく聞かれる話だが、車線数を減らす工事を行政が行うのは珍しい。

現場に行ってみると、その理由がわかった。歩道が狭いだけでなく、車道側に大きく傾斜しているのだ。ちょうど荷物の配達人が通りがかったのだが、押し車を進めるのに苦労していた。
車いすの高齢者やベビーカーを使う保護者にとっては、注意が必要な傾斜となっている。

歩車道方向に向かって傾斜している歩道
歩車道方向に向かって傾斜している歩道
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新宿区では、歩道の広さを現状の約3メートルから5メートル弱まで広げて、急勾配の解消を行うほか、点字ブロックの整備や、自転車通行帯も整備する。江戸川橋通りの通行量は1日あたり最大1万5500台でバス通りでもある。

車線を減らしても渋滞などにはならないのだろうか。

新宿区の交通管理者によると2車線の現在も1車線は駐車枠などでふさがっている状態が多いため、1車線にしても渋滞の発生は見込まれないとしている。バリアフリー化を優先して道路を減らす。
今後、都心でもよく見られる工事になっていくのかもしれない。

大塚隆広
大塚隆広

フジテレビ報道局社会部
1995年フジテレビ入社。カメラマン、社会部記者として都庁を2年、国土交通省を計8年間担当。ベルリン支局長、国際取材部デスクなどを歴任。
ドキュメントシリーズ『環境クライシス』を企画・プロデュースも継続。第1弾の2017年「環境クライシス〜沈みゆく大陸の環境難民〜」は同年のCOP23(ドイツ・ボン)で上映。2022年には「第64次 南極地域観測隊」に同行し南極大陸に132日間滞在し取材を行う。