24日にオープンした広島駅ビル「ミナモア」には、有名ブランド店と肩を並べ、地元でスイーツ店を立ち上げたクリエイターの店がある。奮闘するそのクリエイターに密着した。
自慢のジャムを載せたスイーツ
彼の名はサガワ ユーイチ。彼の作るジャムやスイーツには固定ファンがついている。ミナモアへの出店について、こう語る。

「不安が大きいですかね。どれだけできているか、はかれないじゃないですか」

ユーイチさんが手がけるのは、見た目にも華やかな二層のカラフルなジャム。女性を中心に多くの人を魅了する、こだわりのスイーツだ。「同じ形の瓶の中で全然違うものが作れる」とジャムの面白みを熱く語る。
店を持たない職人から行列のできるブランドへ
ユーイチさんは、東京で修業を積んだ後、2011年に地元・広島県北広島町で「店を持たない」菓子職人として歩み始めた。

「設備もなくお金もなかったので、お店を持たないことを理由に動いてみるのも面白いのかなと」と当時を振り返る。その挑戦はやがて注目を集め、いつしか3時間待ちの行列ができるほどに。

2018年、ついに広島市内に初めての路面店をオープン。そして、2年前、新たな転機が訪れた。
新駅ビル「ミナモア」への出店オファー
新駅ビル「ミナモア」への出店オファーが舞い込んだ。しかし、当時ユーイチさんは、自信がなかったようだ。

「一体、何をしたらいいのかなと思い、『店が一つしかないのに大丈夫ですか?』と開発の方に何回も聞いたが、それでもやってみないかと言われた」
そんな決断がつかないときに、店のスタッフが背中を押してくれたという。
「一緒にやっていこうという仲間がいることが、もともと一人で始めたけど、今は一人ではない醍醐味がある」
そして、ついにミナモアへの出店を決める。その決意をこう語る。

「広島で生まれ育ったからこそ、広島を面白くできる位置に行けるのなら、誰かが担っていくべきだと思うし、全力でそれをやりたい」
広島駅の新名物 「ジャムポケ」誕生
ミナモア開業の1か月前、ユーイチさんは広島駅にふさわしい目玉となる新商品を考えたが、得意のジャムだけでは戦えないと感じていた。ミナモアでともに働くスタッフに新商品をプレゼンした。

「ジャムを食べられるお菓子を作って、広島駅に並んでいたらテンションが上がるかな。手土産や差し入れに使ってもらえるような位置のお菓子を作りたい」

試行錯誤の末、ジャムやチョコレートをトッピングしたミナモア限定の新商品「ジャムポケ」が誕生する。細部にまでこだわり抜いた一品だ。
店を持たないところからスタートし、広島で人気を得たユーイチさんだが、ミナモア出店を足がかりに広がる夢をこう語る。

「周りのお店もトップブランドばかりなので、緊張しますね。無店舗で始めて、今こうやってたくさんの人の目に触れる場所にお店を作ることができた。ここが新しいスタートで、日本から世界に出ていけるように成長していきたい」
味そしてデザインにもこだわったミナモア限定商品「ジャムポケ」が、新たな広島のブランド・スイーツになるか、ユーイチさんの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
(テレビ新広島)