史上最速でワールドカップ出場を決めた森保ジャパン。日本中のサッカーファンが喜びに沸く中、選手ではなくレフェリーとしてW杯を目指す国内最年少のプロ審判員の思いに迫った。

最年少のプロ審判員

全国最年少のプロレフェリーにして、静岡県内出身では実に31年ぶりとなるサッカーの国際審判員に選ばれた大橋侑佑さん(30)。

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藤枝市出身で小学生の時から選手としてサッカーに打ち込んできたが、運命を変えたのは高校1年生だった2010年。

FIFAワールドカップの舞台に日本人が審判員として立っている姿を見て、「自分もこういう舞台に立ちたい」との思いを抱いたという。

審判を務める大橋さん(2018年)
審判を務める大橋さん(2018年)

大学生の時に1級審判員に合格すると、卒業後は仕事の傍ら週末は高校世代やJFL、さらにはJ3など様々なカテゴリーを舞台に審判としてのキャリアを積み上げた。

J1デビュー直後に天国から地獄?

大橋主審に対するSNSのコメント
大橋主審に対するSNSのコメント

そして、2024年9月に初めて経験したJ1のピッチ。

足の速い選手にも引けを取らずに躍動した姿はSNSでも大きな話題となり、「前半終了間際のキツい時間帯にこれだけ走れるのがまたすごいんだよな」「大橋主審、とても良かった。日本のトップレフェリーになれると思います」など称賛するコメントが溢れた。

大橋さんは「今まで経験したことのないスピード。間近でゴールが見られる。J1の舞台でゴールが見られる。それを一番の特等席で見ることが出来たのは感動的だったことを覚えている」と振り返る。

しかし、初の大舞台からわずか3日後。

自身2度目となるJ1のピッチではハンドをめぐる難しい判定を迫られ、SNS上には誹謗中傷するようなコメントも相次いだ。

大橋侑佑さん
大橋侑佑さん

その時のことについて、大橋さんは「もちろん自分の中で“あっ失敗した”というのはあった」と打ち明け、「あの現場で(笛を)吹くべきではなかった。吹かなければオンフィールドレビューすることなく流れた。自分のレフェリングのスキルについて、まだまだレベルが低いと感じている」と話す。

正しい判定を積み重ね夢舞台へ

Jリーグでは2024年、選手やスタッフに対する誹謗中傷が問題となり、FC町田ゼルビアは誹謗中傷した人物に対する刑事告訴に踏み切った。

このため、Jリーグは今シーズン開幕前、選手やスタッフ・審判員に誹謗中傷があった場合は法的措置も含めて厳正に対処するとの方針を示している。

審判のユニフォーム
審判のユニフォーム

こうした中、大橋さんは誹謗中傷を減らしていくためにも誰もが納得のいく判定を積み重ねることが必要だと考えていて、「正しく判定して当たり前なのが審判員であり、何か疑義が生じる判定をするとそこにスポットが当たる。でも、正しい判定してもそこにスポットが当たることはほとんどない」と口にする。

大橋侑佑さん
大橋侑佑さん

その上で、「もちろん誹謗中傷はあってはならないと思うが、ゼロになるかというとならないと思う。もっといい判定をすればもしかしたら無くなっていくかもしれない。そのために経験を重ねて試合を分析し、より良くしていきたいとすべてのレフェリーは思っている」とプロの審判員としての矜持を示した。

JFAの審判紹介に載る大橋さん(日本サッカー協会HPより)
JFAの審判紹介に載る大橋さん(日本サッカー協会HPより)

2025年1月には県内出身のレフェリーとしては初めて日本サッカー協会と契約を結んだことで仕事も辞め、この道一本で生きていくことを決意。

とはいえ、世界には20代でも国際大会で活躍するレフェリーがいることから1日も早く同じ舞台に立てるよう研鑚を積む毎日だ。

大橋侑佑さん
大橋侑佑さん

「審判を始めた時に掲げた夢なのでワールドカップの舞台に立つ、そこが自分の目標・夢ですね」

大橋さんの夢への挑戦はまだ始まったばかりだ。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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