兵庫県の斎藤知事をめぐるパワハラなどの疑惑に関して、弁護士で構成された第三者委員会が結果を公表した。

第三者委員会が結果を公表
第三者委員会が結果を公表
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大声で職員を叱責するなどした行為について「パワハラ」と認定したほか、告発者を処分した県の一連の対応について「違法であり、極めて不当だった」と強く非難した。

第三者委員会が結果を公表
第三者委員会が結果を公表

■第三者委員会は斎藤知事の疑惑の一部について事実と認定

午後4時から兵庫県庁で会見に臨んだのは、県が委託した弁護士による第三者委員会。

第三者委員会 藤本久俊委員長:パワハラについて言えば、かなりの程度事実の部分もございました。この懲戒処分は裁量権の範囲を超えたものであり、その権利を乱用したものであると考えるのが相当であろう」

斎藤知事の疑惑の一部について、事実と認定した。

去年3月、元西播磨県民局長が斎藤知事に関するパワハラ疑惑など7項目を告発する文書を、一部の兵庫県議会議員や報道機関に配布。斎藤知事は告発をすぐに批判していた。

兵庫県 斎藤元彦知事:事実無根の内容が多々含まれている。業務時間中なのに嘘八百含めて文書を作って流す行為は公務員としては失格です。

公益通報者保護法では「公益通報」について、告発者探しや不利益な扱いは禁止されている。しかしその後、兵庫県は告発文を「誹謗中傷文書」と認定。業務と関係ない文書を作成したことなどを理由に元局長を停職3カ月の処分にした。

第三者委員会の会見
第三者委員会の会見

■百条委員会の結果に対し斎藤知事「文書問題への対応は適切だった」という認識示す

こうした県の対応について、兵庫県議会は強い調査権限を持つ百条委員会を設置することに。

7つの疑惑に加え、文書が公益通報にあたるかどうかについても調べられることになった。

3月初め、百条委員会はおよそ8カ月に及ぶ調査の結果を公表。しかし、兵庫県議が委員を担うことなどから、中立性を疑問視する声があがっていた。

百条委員会の結果に対し斎藤知事は…

(Q通報者保護法について違反している可能性が高いという指摘がありましたが?)
兵庫県 斎藤元彦知事:(違法の)可能性ということですから、逆に言いますと適法性の可能性もあるということ。

改めて「文書問題への対応は適切だった」という認識を示していた。

百条委員会の結果に対し
百条委員会の結果に対し

■第三者委員会の調査結果が県の監査委員に報告

一方、百条委員会と平行して文書問題の調査を行っていたのが第三者委員会。

当初、県が行った調査を疑問視した県議会が設置を求め、斎藤知事が応じたもので、「県と利害関係がない者」などの条件のもと、元裁判官などの弁護士で構成されている。

そして、3月19日。

第三者委員会 藤本久俊委員長:報告書をしっかり受け止め県政の発展に活かしていただきたい。

斎藤知事も結果を待ちたいと期待していた調査結果は、県の監査委員に報告された。

兵庫県代表監査委員:半年かけて精力的に調査いただきありがとうございます。

報告書を手渡す
報告書を手渡す

■第三者委員会「大声で叱責したことなどはパワハラに当たる事実である」と認定

170ページに及ぶ調査報告書。百条委員会の結論との違いは…

ポイント1「パワハラ疑惑」。

一番に注目されたのが、斎藤知事が公用車を降りた際、職員を叱責するなどしたパワハラ疑惑について。百条委員会では概ね事実としたうえで『パワハラ行為といっても過言ではない不適切なものだった』と評価。

それに対し第三者委員会は、「大声で叱責したことなどはパワハラに当たる事実である」と認定した。

第三者委員会 藤本久俊委員長:我々はこの事例は幹部や知事にパワハラ行為があったことを指摘したものであって、事例にすぎないと考えました。実際、百条委員会のアンケートや我々のホットラインには、他にも多数のこんなパワハラがあったんじゃないかという情報が寄せられました。

百条委員会の結論との違い
百条委員会の結論との違い

■県の対応は「極めて不当」 通報者の探索は違法であると評価

ポイント2「公益通報」。

百条委員会は告発が公益通報の可能性が高く、県の対応は違法の可能性があると評価。一方、第三者委員会では告発文を公益通報の「外部通報」に該当すると判断。県の対応は「極めて不当」で通報者の探索は違法であると評価した。

また藤本委員長は職員に対し…

第三者委員会 藤本久俊委員長:兵庫県職員は総じてよく頑張って働きます。しかし、それは我慢しすぎにつながる面がある。パワハラは自分が我慢していいことではありません。これは組織を弱体化させるということを考えるならば、決して見逃してはならないものだろう。

告発が明らかになってからちょうど1年。出そろった調査結果を受けて、県政の混乱は収束に向かうのか注目される。

県の対応は「極めて不当」
県の対応は「極めて不当」

■16件の内10件がパワハラ認定 百条委員会の報告書よりも踏み込んだ結果

兵庫県知事めぐる問題について、第三者委員会の報告書が提出された。

百条委員会の報告書よりも、かなり踏み込んでおり、公益通報に関して、違法・不当であるとし、パワハラ行為も多くを認める内容となっている。

第三者委員会がパワハラ認定したもの
・公用車から20メートル歩かされ職員を叱責
・県事業のキャンペーンうちわに顔写真などなく舌打ち・大きなため息
・夜間、休日のチャットでの叱責や指示→「緊急性なく職員の生活を無用に侵害」など、16件の内、10件でパワハラ認定がなされた。

さらに注目したいのは、第三者委員会の報告書の最後には、斎藤知事の「(告発文は)嘘八百」「公務員失格」などの発言についても、パワハラに該当と指摘された。

第三者委員会の報告書では「組織のトップと幹部は、自分とは違う見方も、あり得るという姿勢を持つべき。感情をコントロールし、特に公式の場では、人を傷つける発言は慎むべき」と述べている。

第三者委員会がパワハラ認定したもの
第三者委員会がパワハラ認定したもの

■「相当大きな責任を負わないといけない」とジャーナリストの鈴木氏の指摘

今回の第三者委員会の報告書は、3月初めに出された百条委員会の報告書「パワハラ行為と言っても“過言ではない”」よりも厳しく断じている。

番組コメンテーターの鈴木哲夫さんは「この結論は極めて重い」と話す。

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:百条委員会はもちろん議会が作ってしっかり調査しているので、甘いとかあいまいだとかは言いません。だけども、議会の中での人間関係なども色々出てきましたよね。だからそういう所で、はたしてどこまで徹底的にやれたのかどうかは疑問が残る。ただ、百条委員会としてはそれなりに厳しい判断を出しました。

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:今回の第三者員会は、それよりも表現がもっと厳しい。もっと断定したというのが出たわけですよね。ご存じの通り第三者委員会というのは議会も何も全く関係ない、全くの第三者が客観的に見たものですから、この結論というのは極めて重い。

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:公益通報に関して言うと、兵庫だけの問題じゃなくて、パワハラというのは兵庫県の中の人間関係やそういう所もあるのかもしれないけど、公益通報って日本全体で実際にある問題ですから、ここで『違法』という言葉が出てきましたけども、これは相当大きな責任を負わないといけないと思います。

斎藤知事は百条委員会の調査報告書が出たときは、「ひとつの見解として受け止めるけれども、県の対応には問題なかった」と話していた。

この後、この第三者委員会の調査結果をどう斎藤知事が受け止めるか注目される。

この調査結果は法的拘束力はないが、法律の専門家たちが出した結論を斎藤知事はどう受け止めるのか。

(関西テレビ「newsランナー」2025年3月19日放送)

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん
関西テレビ
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